昭成裔9 拓跋悦
しかしこういった特別待遇をかさに着、おごり高ぶるようになった。宗族の子弟や高官の子弟らに語る。
「もし陛下が身罷られたら、わしは
美髯を誇る拓跋儀は当時の宮廷内で非常に重んじられていたため、拓跋悦にとっては拓跋珪以外では唯一憚るべき存在だったのだ。
以前、
「
もちろん拓跋嗣は却下した。
この件もあり、拓跋悦はやがて自身が拓跋嗣に疑われているのでは、と疑い、恐れるようになった。そのため懐に短刀をしのばせて拓跋嗣の側に侍り、殺害せんと目論んだ。拓跋悦の様子がだいぶおかしなものだったのだろう、同じく拓跋嗣の側にいた
悅外和內佷。太祖常以桓王死王事,特加親寵。為左將軍,襲封。後為宗師。悅恃寵驕矜,每謂所親王洛生之徒言曰:「一旦宮車晏駕,吾止避衞公,除此誰在吾前?」衞王儀,美髯,為內外所重,悅故云。初,姚興之贖狄伯支,悅送之,路由雁門,悅因背誘姦豪,以取其意。後遇事譴,逃亡,投雁門,規收豪傑,欲為不軌,為土人執送,太祖恕而不罪。太宗即位,引悅入侍,仍懷姦計,說帝云:「京師雜人,不可保信,宜誅其非類者。又雁門人多詐,并可誅之。」欲以雪其私忿。太宗不從。悅內自疑懼,懷刀入侍,謀為大逆。叔孫俊疑之,竊視其懷,有刀,執而賜死。
(魏書15-9)
しゅ、しゅごい……自業自得という言葉がこれほどふさわしい人物がいるでしょうか……
にしても「親王洛生之徒」の意味がうまく拾いきれません。親王は宗門でいいと思うんだけど、洛生がね。検索すると謝安が得意としたとされる「おばあちゃんのうめき声みたいな歌い方」=洛下詠(洛下書生の吟詠)が出てくるんだけど、ここをちょっと翻案して「謝安クラスの高官」みたいな感じにすると、ここで言う洛生に当てはまりそうかなあ。同時代ややや後の時代でちょくちょく「洛生」って名前の北朝士人が出てくるから、まぁ「高貴な人」的な意味合いが混じるのは間違いがなさそうではあるんですよね。問題はその出所。北朝人が南朝人の風雅さを好んだ、みたいな話も聞かないではないけど、ここを短絡的にくっつけてもいいものか。
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