拓跋嗣9  曹龍逼脅

7 月、拓跋嗣たくばつし薄山はくざんに出、拓跋珪たくばつけいによって立てられた石碑のもとに出向き、石碑そばにて宴会を開いた。山を下ったあと、從者たちにも大いに宴会に参加させた。

奚斤けいきんらが越勤えっきん倍泥ばいでい跋那山ばつなさんの西で撃破、馬五万頭、牛二十万頭を獲得、二万世帯あまりを大寧だいねいに移住させ、それぞれの家族数に応じた田を与えた。

河西胡かさいこ曹龍そうりゅう張大頭ちょうだいとうらが二万人余りを率い、蒲子ほし研子壘けんしるいに駐屯する張外ちょうがいのもとに迫った。張外は恐れ、牛酒を献上、馬を殺して盟を誓い、曹龍を大單于に推戴、さらに美女や良馬をも献上した。

拓跋嗣は西南方面の諸部落を巡察。各地の渠帥に、官位に応じた繒帛を下賜した。そうして定襄ていじょう大落城だいらくじょうにつくと、今度は東の十嶺山じゅうれいさんを越え、善無川ぜんぶせんにて狩猟をなした。


8 月、拓跋嗣は平城へいじょうに帰還すると、奚斤らに兵を与えて曹龍討伐に出向かせた。拓跋嗣自身は白登山はくとうさんに詣で、新たに帰属した民らを前にし、合わせて北魏軍の現状を確認した。

曹龍は奚斤に対して降伏、張外を差し出す。張外は斬り捨てられた。奚斤らが帰還すると、拓跋嗣は功績に応じて牛、馬、奴婢を下賜した。新たに獲得した民もまた大寧川まわりに移住させ、農具、田畑を与えた。


10月、拓跋屈たくばつくつ劉潔りゅうけつ魏勤ぎきんらに吐京ときょうで謀反を起こした胡族を攻撃させたが敗北。劉潔は負傷し、魏勤は死亡した。

11 月、西宮で宴会をなした。姚興ようこうが娘を送り込み、妃に迎えてほしいと願い出てきた。拓跋嗣も受諾した。




秋七月己巳,還幸薄山。帝登觀太祖遊幸刻石頌德之處,乃於其旁起石壇而薦饗焉。賜從者大酺於山下。奚斤等破越勤倍泥部落於跋那山西,獲馬五萬匹,牛二十萬頭,徙二萬餘家於大寧,計口受田。河西胡曹龍、張大頭等,各領部,擁眾二萬人,來入蒲子,逼脅張外於研子壘。外懼,給以牛酒,殺馬盟誓,推龍為大單于,奉美女良馬於龍。丙戌,車駕自大室西南巡諸部落,賜其渠帥繒帛各有差。遂南次定襄大落城,東踰十嶺山,田於善無川。八月癸卯,車駕還宮。癸丑,奚斤等班師。甲寅,帝臨白登,觀降民,數軍實。曹龍降,執送張外,斬之。辛未,賜征還將士牛、馬、奴婢各有差。置新民於大寧川,給農器,計口受田。丁丑,幸犲山宮。癸未,車駕還宮。

冬十月丁巳,將軍元屈、會稽公劉潔、永安侯魏勤等,擊吐京叛胡,失利,潔被傷,勤死之。十一月癸酉,大饗于西宮。姚興遣使朝貢,來請進女,帝許之。


(魏書3-9)




拓跋嗣って親征が少なくて、「いや、皇帝って普通こうだよなぁ……」と思わざるを得ません。あと奚斤の大活躍がもろ庾岳ゆがくコースなのが泣ける。

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