勃勃11 北涼との同盟
「金徳の国、
天はこの事態を悔い、いま、赫連と沮渠との縁を繋げ合わせた。授けられた封地も間近であり、向かい合う敵も、戦うべき理由も等しい。ならば厚くよしみを通じ、天下の艱難をともに救済すべきであろう。
古来より、国と国とがよしみを通じ合うのは、天の神々にその思いを明らかとすることなしで成り立つことはなく、鋼を立つほどの硬き絆なしではその同盟が保たれることはなかった。故にこそ
しかるに我ら二家は古の盟約とは違い、あえて言葉に表すまでもなく互いに親愛の情を抱いていた。そしてひとたび言葉を交わせば
天下が荒れておれば赫連、沮渠の旗を振って平定を目指し、領域内の平和が達成されたならば
平らかなる道も、険しき道もともに進み、お互いの不足を補い合い、孫子の代に至るまで、長らくの尊敬と、親愛を交わし合おうではないか」
沮渠蒙遜もまた
遣其御史中丞烏洛孤盟于沮渠蒙遜曰:「自金晉數終,禍纏九服,趙、魏為長蛇之墟,秦、隴為豺狼之穴,二都神京,鞠為茂草,蠢爾群生,罔知憑賴。上天悔禍,運屬二家,封疆密邇,道會義親,宜敦和好,弘康世難。爰自終古,有國有家,非盟誓無以昭神祇之心,非斷金無以定終始之好。然晉、楚之成,吳、蜀之約,咸口血未乾,而尋背之。今我二家,契殊曩日,言未發而有篤愛之心,音一交而懷傾蓋之顧,息風塵之警,同克濟之誠,戮力一心,共濟六合。若天下有事,則雙振義旗;區域既清,則並敦魯、衛。夷險相赴,交易有無,爰及子孫,永崇斯好。」蒙遜遣其將沮渠漢平來盟。
(晋書130-11_政事)
本日のハイライト。
>自金晉數終……非斷金無以定終始之好。
しれっと晋ぶっ○そうぜなどとのたまっており。
この辺は、何なんだろうなぁ、北涼なんざ夏と一緒に版図広げたら関中盆地ですでに両者の利害バッティングしますやん。そしてそんなん、あの沮渠蒙遜が認識してないはずがない。なら、とりあえずハゲどもをぶっちめるためにも手を組まなきゃいけなくて、ではそのためにどんな大義名分を揃えましょうか、って感じなんでしょうね。
このときにぼつぼっつぁん、そして沮渠蒙遜が「中原文化的な三文芝居」の有用性をきっちり理解してるのは、結構重要な要素なのではないか。つまり、そういったクッソクダラネー手続きを踏むことが、関中盆地の人間に、効く。そういう認識だったのでしょう。
そこの成否を語ることにあんまり意味はなく、ぼつぼっつぁんがそういった「文化」への、皮相的ではあるにせよ、理解を示していたことはマジで重要だと思うのだ。
いや、「中華文化」が重要、なんて卑近な話をする気はないですよ。「トンデモネー生産力を発揮する地域」は、どうしようもなく重んじられる。ならばその地域の文化には、一定の理解が示される。
最終的に踏み潰そうと考えるにしたって、まずは受け入れないことには話になんない。そういった絶妙な柔軟さを、この外交文書に感じるなどするのでした。
いうて「こちらを破滅させにかかる勢力からの使者」が柔軟で友好的なら、ようは死亡フラグなんですが。
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