第16話今度こそ 旅立ち……出来るかな ?


数日がすぎて ようやく王都を出る時がきた

古い馬車は 親父さんに返して クリスの家(伯爵)の大きめの馬車を 借りる事になった。


クリスは マルゲリータ伯爵の次女であり

兄が二人 姉が一人 妹が一人 いるそうだ。


流石に『たま』だけでは 馬車を引けないので馬 二頭も 借りる事になった。

気のせいか たまが ほっとしているような気がする。



ここまでして貰い私は

「 ねえ クリス こんなに 支援して貰っていいの ?」

と 聞いて見ると


「 はい 勇者様の支援は貴族の誉れ

我が 伯爵家にとっても名誉なので お気になさらずにしてください 」



「 それで 本当のところは どうなの ? 」


「はい アオイ様 王家や 他の貴族が 出し渋る中 マルゲリータ家だけが まともな支援を することにより 王国内での立場が 変わってくるのです。


また 民衆の人気も上がるので マルゲリータ家にも メリットがあるのです 」


まあ クリスの家にも得に成るなら いいかな。 馬車の運転は クリスにして貰い 私達は交代でクリスの隣に座り 馬車の運転の仕方を教わった。


「 ところで 目的地は 魔王が納める

『ローズパレス連邦国』で 良いのですか?」

クリスが聞いて来た。


「 目的地は それでいいけど まっすぐ向かわず修行の為にも 寄り道するつもりよ

何処か お薦めはあるの ? 」

私が 再び聞くと


「はい アオイ様 もう少し進むと『コタイラワサ』

と言う 水の都があります


そこの川魚料理は 評判で『ラブリー』の煮物や『にょろにょろ』のカバ焼き が有名です 」



「 『ラブリー』は『鯉』かなぁ~ 『にょろにょろ』は 『鰻』かな ?」

茜が 考えていると


「 ライス 米は あるの ? ジパング人にとって米は『魂』あるのと ないのでは やる気に大いに影響する 」

薊が 真剣に聞いてくる


この 食欲魔神は 本当にもう~しょうがないなぁ


「 はい アザミ様 米 ライスは 昔の勇者様が 開発したので 一般に出回っています 」


「 よしっ ! これで 勝てる ! 」

薊が 握り拳を作って ガッツポーズを取った




「 なぁ さっき 魔王の国を『連邦国』と言ったが、いくつかの国がまとまっているのか ? 」


「 はい プリンス様 『 ローズパレス連邦国』は

魔族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族

それぞれが納める『小国家』による連合国です 」


なるほど ヒト族至上主義の 『王国、帝国、聖国』

とは 敵対するわけよね



「 『 ローズパレス』かぁ~ 薔薇(ばら)の城、おしゃれな名前だね」

茜がまた ズレタ事を言っている



「 それより 鰻 ウナギだよ !私達でも 滅多に、口に出来ない高級魚だよ ! 鰻重を 食べるのは、久し振りだよ あっ 考えただけでヨダレが…… 」

薊が 口をぬぐっている


緊張感がないなぁ~


私(葵)は 苦笑いしていた

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