第39話 アルザゴスの陰謀
帝国を破壊したいと言っていたアルザゴスが、ギオン皇国に陰謀を仕掛けてきているらしい。陰謀団の部隊がいろいろ工作をしているとのこと。まあ些末なことだ。
放置してもいいが、近くを通りかかって見かけたら退治してやるか。そのくらいのスタンスで対処する。
現在我が国の領土は、ほとんど北帝国とバタニアから奪った土地で、東西に長い領土となっている。そのためアセライ軍は西のリシア海峡と東のダヌスティカ経由の両側からこちらに侵入してくる。うっとうしい。
タイラー家の領地で、元南帝国の領地がアセライに狙われそうなので東に向かうことにした。西は元バタニアの領地が狙われそうだが、そちらは他の諸侯に任せよう。
東へ向かう途中、フィカオンにやってきたところ、近郊に多数の山賊集団がたむろしていて悪さをしているようだった。どうやらアルザゴスがけしかけているらしい。
通りかかったついでだ。対処しよう。
山賊の集団を捕捉し、部隊で取り囲む。
「正直に言うと、死にたくない。傭兵として雇ってくれないか? そうすればお互いが望むものを手に入れることができる」
「いいだろう。入隊を許可しよう」
邪心スキルを極めた俺にかかれば、こういう風に盗賊集団をすぐに軍門に下らせることができる。おかげで兵の補充が容易だ。まあ盗賊は兵としてはかなり弱いが。
しかし統率能力が高いと盗賊を正規兵に転向させることもできるようになる。そうなれば兵の補充に悩むことはなくなる。盗賊はそこら中にたくさんはびこっているからな。
3つの山賊集団を排除するとフィカオンにアルザゴスの陰謀団の部隊が現れた。
「イスティアナの計画のことは知ってるぞ。お前は失敗して、死ぬんだ」
陰謀団の部隊と戦闘になった。陰謀団の部隊の兵はなかなか精強であった。自部隊が同数程度だと厳しい戦いになっただろう。だが兵数も質もこちらが上だ。問題なく陰謀団の部隊を壊滅させた。
これでアルザゴスの陰謀の進行が多少遅れることになるだろう。
カルラディア東部にやってきたところ、予想通り、うちのメリオン城を包囲しようとするアセライ軍を発見した。
部隊を召集して軍団を組み、包囲を開始したアセライ軍に合戦を挑む。結果は圧勝だ。
合戦において、アセライ軍はまず騎兵をけしかけてくるので、待ち構えて敵騎兵にしっかり対処するといいだろう。ジャベリンや弓を放つことができる強力な騎兵でこちらの戦列をかき乱したいのだろうが、来るとわかっていれば各個撃破するだけだ。騎兵を処理したあと、アセライ軍の歩兵本隊を鉄床戦術なり何なりでじっくり料理すればいい。
メリオン城の防衛後、イスティアナから手紙が届いた。
アルザゴスと繋がっている商人が、武器や鎧を大量に購入した。その物資を隊商で輸送し、反乱目的の悪党どもに供給する計画が実行されるとのことだ。
その計画を俺に妨害してほしいらしい。イスティアナの密偵のもたらす輸送経路の情報をもとに、隊商を捕捉し撃滅すればいいようだ。
ま、忙しいので放置だな。
「南とフーザイトがやり合っているな」
東側からやってきたアセライ軍を撃退していると、南帝国とフーザイトが激しく戦闘していた。
「どうやらオニラやコレニア城に攻めてきたフーザイトを南が撃破したところのようだぞ」
「これは……漁夫の利ができるな」
「ムジョー、南帝国と戦端を開くのか? アセライと戦争中だが」
「アセライとじゃれ合っていても時間の無駄だからな。それに、はるばる遠くから来るアセライ軍への対処は容易い」
「うむ。たしかに先日のメリオン城のときのような戦力を小出しにされる分には脅威にならないな」
「南帝国へ宣戦布告しろ! ラガエアが占有している土地の正当なる所有者はギオンであると」
フーザイトに勝利したものの消耗していた南帝国軍を宣戦布告同時攻撃で撃破。そのままラガエアの本領であったオニラを攻略。次いでコレニア城も攻略。
その後、オニラを奪還せんとする南帝国軍と、同じくオニラを狙うアセライ軍が現れたが、それらも問題なく撃破。野戦兵力が激減した南帝国を侵攻する。
ペラシック海沿岸にある南帝国の都市ボストラムへ軍団を進軍させた。そしてボストラムの包囲を開始しようとしたときに、怪しげなスタルジアの隊商がやって来た。
ああ、くだんの件の隊商か。
「どうも、旦那様。どうして私どもの隊商を止めたのですか? 略奪のためではないでしょうけれど……」
「かもな。何を運んでいる? まっとうな商品か? 武器か? 私たちに見せてみろ」
「なるほど……芝居はもう必要なさそうだな。誰が私を送り込んだのか知っているのだろう。私の商品もわかっているはずだ。ならそれを腹に突き立てられる感覚も想像できるだろう」
隊商の振りをした陰謀団の部隊が襲い掛かってきた。
だが、こちらはボストラムを攻略しようとする大軍団だ。鎧袖一触である。
陰謀団の隊商は運がなかったな、偶然我が軍と進路がかち合うなんて。
その後ボストラムを落とし、次いでモレニア城、ポロスと南帝国領を切り取っていった。
残る南帝国の都市はダヌスティカのみとなったが、ダヌスティカがアセライとの緩衝地となることを期待して南帝国とは和平を結んだ。
領地無しとなった南の諸侯たちは後々勧誘していくとしよう。
「次は西帝国だ!」
西帝国の都市ゼオニカまで軍団を移動させ、宣戦と同時にゼオニカを攻めた。防衛の軍が来る前に陥落させることができた。
ゼオニカを手中に収めたことにより、帝国の領土の2/3を獲得したことになった。これでギオン皇国は帝国を継承した国として認められるはずであった。
「ムジョー! ウランジア、スタルジア、フーザイトから同時に宣戦布告されたぞ!」
我が国に陰謀を図っていたアルザゴスの最後のあがきか、ウランジア・スタルジア・フーザイトが同盟を組み我が国に戦いを挑んできた。
「西、北、東と包囲網を敷かれた形だな」
「停戦には応じないとのことだ。ギオンは世界の敵となったかのようだ」
現在ギオン皇国は、すっかり弱ってしまったバタニアと北帝国以外、全ての国と戦争状態だ。
「まあ破竹の勢いで領土を獲得していきたからな。アルザゴスが仕組んだのだろうが、遅かれ早かれこのような状態になる。出る杭は打たれるというやつだ」
「大丈夫なのか? ムジョー」
「安心しろ、兄者。俺の辞書に不可能という文字はない」
世界の敵となったギオンだったが、すぐに南のアセライとは和平できたし、その後西帝国も少し叩いたところで和平できた。あとは同盟を組んだ3国を順繰り叩いていけばいい。
そうだな、ウランジアとの間にはまだ西帝国領がそこそこ残っているし、まずは東のフーザイトから行こうか。
この敵の同盟は、俺の覇道を阻む最後の障害だろう。もう世界征服は目前だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます