第37話 逆侵攻

 最近俺は、地形や敵の行動等に関して洞察力が鋭くなったように感じる。そのため他の者より部隊を一段速く移動させられるようになった。

 これはあれだ、偵察スキル275レベルで取得できるパークの効果だな。偵察スキルを極めた俺自身が部隊長でないと発揮できない類のものだ。

 戦争において部隊速度はキモだ。今後俺の部隊がいっそう戦闘で優位に立てるようになる。



 独立国の指導者になったとて、やることは今までそう変わらない。敵部隊をバンバン撃破していくのだ。バタニアの兵はあまり見ないが、バタニアに雇われた傭兵や戦火で増えてしまった盗賊を倒していく。皇帝として軍事的な実績を積まないと影響力を持てないからな。


 そうして活動していると、サネオパの近くでカラドグの軍団を発見した。カラドグ軍は我が国のヴァラゴス城を包囲するようだ。


 俺は少したまったなけなしの影響力を行使してギオンの傘下に加わった諸侯たちの部隊を召集した。戦力を上回ったところで、城を攻め始めたカラドグ軍にぶつける。

 城の守備兵も加わったため、戦力比は1000対600ほど。

 結果は快勝である。


 そのまま余勢を駆って都市サネオパを包囲し攻め立てると、手応えなくあっさり落城した。

 通常、拠点の防衛戦では駐留兵だけでなく、その土地の民兵も参加するものだが、サネオパはカラドグへの忠誠が低かったようで民兵が防衛戦に参加していなかったのだ。そのためあっさりとサネオパを落とすことができた。


 参加しなかった民兵はそのままサネオパの守備兵となる。サネオパは元々北帝国の領地だったが、まるで俺が解放者になった気分だ。


 俺自身はバタニア人とは言え、ギオン皇国は帝国の後継を称する国家だ。文化も帝国式を採用している。帝国の文化を持つ都市に対して略奪が行うわけにはいかない。

 野蛮なバタニア式の統治はサネオパの民には受け入れられなかったのだろう。住民にとって俺は本当に解放者なのかもしれない。


「今日よりサネオパはギオン皇国の統治下となる。俺に忠を示すのならば、カラドグよりも良く治めてやろう。ともあれサナーラは滅ぶべきである」



 サネオパ攻略後、ちょいちょいやってくるバタニア軍を撃退しつつ、ダイアトマ、レーソス城、エピクロテアも攻略した。北帝国からバタニアのものとなって日が浅かったため、落とすのは容易かった。これらの領地はカラドグが俺に寄越さなかったところだな。


「カラドグざまあ」


 獲得した領地は我がギオン皇国に参入してくれた諸侯に振り分けた。エピクロテアはギオン皇国の下、再びアルゴロスのものとなった。


「ありがたく思えよ、マンテオス」



 その後バタニアが和平を申し出てきたが蹴る。バタニアは俺の独立前から戦時状態が長期続いており、しかも我がギオン皇国との戦いでは負け続けていてかなり疲弊しているはずだ。俺はバタニアの本領に逆侵攻することにした。


 軍団を率いてバタニアの山岳地帯に入るとバタニアの部隊が増えてきたが、我が軍に太刀打ちできる有力な軍は現れず、都市セオノンを包囲攻略することができた。

 セオノンを攻める際、左の崩れた城壁にある程度登ることができ、そこがいい狙撃ポイントとなってジャベリンで敵を倒しまくることができた。


 バタニアへの逆侵攻はまだまだ続く。

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