第35話 独立建国ギオン皇国

「独立する絶好の機会か……」


「ん? ムジョーよ、今なんと?」


「カラドグと決別し、タイラー家はバタニアから独立するぞ! 3カ国と戦争中ならバタニアは離反直後の戦力が低い状態でもこちらに構う余裕がないはずだ」


「うむ、いよいよか! 軍資金も貯まっておる。カラドグには苦汁を飲まされたからな、目に物見せてやろうぞ!」


「貴方、タイラー家は単独で既にラガエアやルーコンよりも大きな勢力となっています。それに私たちの領地は元帝国領がほとんどです。離反独立と同時に建国を宣言し、帝国の後継者として皇帝となられては?」


 バシリアが独立建国を勧める。俺が皇帝になればバシリアは皇后か。確かにそれが現実的なところまで来たな。


「おお、ムジョーもいよいよ皇帝か! あの時言ったことが本当になるな! それに我々にはアレがある」


「アレ、とは?」


 バシリアは知らなかったか。俺もすっかり忘れていたが。


「アレを使う日が来たか……バシリア、待っていろ。ちょっと取ってくる」



「この旗は……まさか」


「そう、これはカルラディオスの軍旗――ドラゴンバナーと呼ばれるものだ」


「それでは貴方は真に正当な帝国の後継者……!?」


「まあこの旗は山賊共から奪ったものだが」


「やはり貴方は皇帝になるべき人です。早速独立建国しましょう」


「まあ待て。その前にやっておきたいことがある」



 それは他国への宣戦布告の提案を議会に挙げることだった。どうせ離反するならその前にバタニアの戦争相手をさらに増やしておこうと思ったのだ。たまっていた俺の影響力がなくなるまで提案を挙げる。

 だが、提案は反対にあい、通らなかった。それでも反対させることでバタニアの諸侯の影響力を削ぐことができた。わずかな効果だったかもしれないが、影響力を失えば軍団を編成しにくくなる。



 バシリアに、ここ――アンプレラの統治者に就いてもらった。こうすることで今この場、アンプレラの天守の広間での統治者バシリアとの会話は、公の発言となるのだ。


「大きな一歩を踏み出す時だ……新たな王国を宣言しよう」


「書類や習慣法で用いる言語はどうしますか?」


「帝国の言語および法律だ」


「では元老院を置くことになりますがよろしいですか?」


「いいだろう」


「では、この国は何と呼ばれるようになるのでしょう?」


「国の名は『ギオン皇国』だ」


「この宣言は貴方の全領地に広まるでしょう! ギオン皇国に永遠なる勝利あれ!」


 ギオン皇国万歳! ジーク・ギオン! ジーク・ギオン!


 こうしてタイラー家は領地を持ったままバタニアから離反独立し、俺を皇帝としてギオン皇国を建国した。

 バタニアからすれば反乱である。当然ギオン皇国とバタニアは戦争状態となる。カラドグを始め、バタニアの各諸侯との関係も悪化する。

 では、バタニアと戦う準備をしないといけないな。

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