第27話 忠誠を誓おう

 傭兵稼業と脱獄行脚修行を続け、転生から丸三年がたった夏、戦利品をより多く奪うコツをつかんだと自覚した。ゲーム的にいうと邪心スキル275に到達したのだろう。

 これで脱獄行脚修行を終わりにしてもいい。脱獄チャレンジも楽しいものではあるが、さすがに飽きてきていたからな。



 修行も終わったので傭兵も卒業しようと思う。資金も貯まってきた。成り上がりの次なるステップは正式な家臣として国への仕官である。


 正式な家臣となれば傭兵と違い、領地を持てるようになる。そうなれば出自がどうあれ本物の貴族ということになる。諸侯の仲間入りだ。

 貴族として影響力を持つようになれば、国の決め事に意見を言えるようになるし、諸侯の部隊を集めて軍団を編成することもできるようになる。

 鞍替えは難しくなる。傭兵のようにペナルティなしですんなり契約解除、とはいかない。特に領地を持ったままの離反となると、即、離反元の国と戦争となる。



 行軍中のバタニアのカラドク王に面会する。俺はバタニアに仕官することにしたのだ。


「我が君、いつまでも、傭兵に甘んじるつもりはありません。臣下として、忠誠を誓わせていただけないでしょうか」


「お前は勇敢な戦士であり、素晴らしい指導者だ、ムジョー。私に忠誠の誓いを立てるのならば、お前を喜んで受け入れよう」


 誓いは、カラドグが言う文言を繰り返し唱えさせられるものだった。


「私は正しきバタニアの上級王として、あなたに忠誠を誓いましょう」


「私は正しきバタニアの上級王として、あなたに忠誠を誓いましょう」


「天と地の力が、あなたにこの聖なる地をお任せになりました」


「天と地の力が、あなたにこの聖なる地をお任せになりました」


「私はあなたの側に立ち、決して見捨てることはしません。この命尽きるまで、戦い抜きましょう」


「私はあなたの側に立ち、決して見捨てることはしません。この命尽きるまで、戦い抜きましょう」


 カラドグが先に誓いの言葉を言うので、逆にカラドグが俺に忠誠を誓ってるんじゃないかと思ってしまったり。そのようなことを思ってしまうくらい俺が誓った忠誠なんて仮初である。


「忠誠を受け取った代わりに、腕の立つ部下の指揮権と贈り物を与えよう」


 カラドグはフィアンというバタニアのエリート兵を数名こちらに寄越してくれた。強弓と大剣を扱うバタニアを象徴する戦士である。その辺の一般兵よりはるかに強いはずだ。


 さらに『リーパー』という大剣をもらった。

 リーパーは死神という意味だな。一見太刀のようだが、刃が反りの内側にあるファルクスという種類の刀剣で切れ味が鋭い。

 反りの内側に刃というと、るろ剣の逆刃刀みたいだな。別に峰打ちするつもりも不殺を守るつもりもないが。

 逆刃刀というより鎌に近いかもな。死神の鎌というわけか。


 片手持ちでも使えるが、やはり両手持ちで思いきり振り回すほうがいいだろう。大概の敵は一撃で切り伏せることができる。

 なお、このリーパーやファルクスは形の都合上、突き攻撃はできないが、そのぶん斬撃に特化している強力な剣だ。

 俺はこのリーパーを装備し、実戦で使っていくことにする。


 これで俺も今日からバタニアの正式な貴族だ。

 まずは領地を手に入れたいな。

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