第2話 第二の部屋

 ーーココは?


 私が目を覚ますと、見覚えのない狭く暗い部屋の中に私はいた。 

 あたりをゆっくりと見渡す。 

 どうやら私は監禁されている訳ではなさそうだ。手足は自由に動かせる。 

 この部屋から一つだけ見えるドアに近づくと、ノブを回す。


 ーー開かない、か。


 諦めの気持ちが、心の底からジワジワと湧いてくるのを、敢えて否定した。


 ーー諦めてたまるか!!私はこんなところで死なない!!


 あれ…?


 その時、私は撃たれた事を思い出し、私の腹部を見た。

 確かに撃たれたはず…。


 なのに…?どうして…?!痛みもない。


「お目覚めでしょうか?お客さまーー!!」


 ドアが開いたのと同時に、あの店長が顔を出した。

 まるで何事もなかったかのようにーー。 


「い…一体、どういう事なの?」 

 

 近寄らずに事のアラマシを説明してもらおうと、店長に問いかけた。


「ーーそれはまだ、言えません」


 薄気味の悪い笑顔で、店長はニヤリと笑った。

 背筋が凍る思いがした。


 私は逃げだそうとドアを開ける。


「ーー逃げない方がいいと思いますがねぇ」


 外で待っていたのは、明らかにあの店の従業員ではなく、ヤクザとかチンピラとか、その類いの人の様だった。

 私は思わず、後ずさりして、その場に座り込む。


「お客さま、こちらへどーぞ」


 ※


 次に私が通されたのは、マンホールの中だった。

 手渡されたのは、薄暗いライトがつくだけの懐中電灯ーー。


「お客さま、マンホールのその先へどーぞ」


 店長とヤクザのような人に、急かされるようにして、私はその中に入った。


 懐中電灯の灯りをつける。


「ヒャーーー」


 咄嗟に口を突いて出てきた言葉が、それだった。

 小さい動く動物に気づいたからだ。


 ライトを照らす。


 そこには、ネズミの群れがいた。

 マンホールの中には、こんなにもネズミがいるのだろうか?


「ねぇ、どうなってんの?」


 少しだけ感情をあらわにしながら、店長に聞くが、店長は口を開かない。  


「ちょっと、待ちなさいよ!!何なの?これーーあんた達は一体何者なの?ーー答えなさいよ!」


 今にも店長の胸ぐらを掴みかかりそうな勢いで、問いただそうとしたが、彼らはどうも慣れているらしく、黙ったままーー。


 私は客だ。 

 あのファーストフード店の客なのに、なぜこんな所に通されているのか?

 不平不満が、爆発しそうなのを辛うじて堪えてるつもりだ。


 ここはマンホールの中なのに、私は妙に落ち着いている。

 これが火事場のバカ力というやつだろうか?


 ーーもう、一体何がどうなっているのか?













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