第18話 蛇あやかし親子って・・・

その後、子供が出来たことを知った竜王様は、無理やり蛇あやかしを仙界に連れて帰り、蛇あやかしは、自ら5丁目に入って生活し始めたという事だった。だが、これは、竜王が子供を守るためにしたことだったらしく、蛇あやかしは、子供と共に静かに暮らしていたはずだと狐仙女さんは、話した。


「何が子供の為だったの?」

「あやかしと人が交わったからって、子供が出来ることは、ほとんど無いのよ。それが、出来たってことは、かなり強いあやかしになるか・・・異形のあやかしになるって言われてるの。下界で暮らしてるのに、人型を取っていないまま・・・生まれればどうなると思う?」


全員が氷ついたように納得の表情を見せてからお母さんがしんみりとしながら口を開いた。


「かわいそうね・・・。子供が生まれるって本当にうれしい事なのにそんな風に考えなくちゃならなかったなんて・・・。ね。河童さん・・・。」


河童さんもお母さんに釣られて涙をためている。この二人は、一心同体のように表情を同じにするので少し呆れてしまうがそこは、置いておこう。聞けば聞くほどかわいそう話になってきていたが問題は、静かに子供と暮らしていたはずの蛇あやかしさんが何故、5丁目を出たかである。


「あのさ、子供になんかあったとか?じゃないの」


三橋くんが金ぴか仙人に話しかけた。


「うむ。子供も一緒におらんのじゃ・・・。」

「じゃあ。きっと子供がきっかけだよな~きっと。そう思わない?友香も。」

「うん。そうだよね。もしかしてさ・・・お父さんに会いたいとかって、話になったとか?かな?それとも・・・ほら、強いあやかしになりすぎて人間界に飛び出して行っちゃったとか・・・。」


この言葉に、金ぴか仙人の顔が少し曇ったのを狐仙女さんが見落とさなかった。


「ね~師匠・・・。何か隠してるでしょ?コン」

「うう。目ざといのう・・・。」


皆、一斉に金ぴか仙人の周りに顔を近づけて聞こうとするので、金ぴか仙人が小さいのに更に小さくなって話しづらそうにしている。


「どんな子になるか?分からんから5丁目になったわけじゃった。だが、生まれた子は、体も弱くて・・・異形というより、美しい女の子じゃった。じゃが、あやかしには、違いなく、子供は、数年で大きくなった。その上、惑いの香を纏っておっての・・・。」


今度は、狐仙女さんが顔色を変えて金ぴか仙人にとびかかる勢いで話した。


「惑いの香って神様さえ惑わすって言う・・・あの香りなの?」

「そうじゃ。最初は、分からなんだ。なんせ、惑いの香を嗅いだものなど竜王様クラスじゃないとおらんからのう。大きくなる程に香りを纏い、なんとも香しいと言って、5丁目の極悪あやかしですら跪いておったのじゃ。当然、惑わされておるから二人が5丁目を出るまでこの件が他に周知されておらなんだ訳じゃ。」


「あっ!!箱の香り!!スイレン仙女さまの種がつけたんじゃなくって・・・。その惑いの香りだったら?コンタクト自体が惑いの香がついていて仙界に行けたとか?どう思う?圭太!」

「うん。そうだな。だけど、なんで?お前だったんだ?」

「そっか・・・だよね・・・。康栄さんの子孫じゃあるまいしね・・・。」

「んん?パパンが言ってたのを今、思い出したんだけど・・・おばあちゃまがうちは、由緒正しい士族だとかよく言ってたって。この近くのお城に仕えてたって言ってたような・・・。どうだったかしらね・・・。ママンは、嫁いできた方だからよく知らないんのよね。」

「えー----!!!!待って。じゃあさっきまで酷いだのなんだの言ってた人の子孫の可能性もあるってこと?」

「だから~パパンに聞かなきゃわかんないわよ。」


そこで、三橋くんがストップと声を掛けた。方向が広がりすぎて話がまとまらないと言って、また、マジックで要点を書き足し始めた。


「仮定で話すぜ。5丁目から蛇あやかし親子が失踪していた。その後、狐仙女さんとスイレン仙女さんが喧嘩して狐仙女さんを飛ばす・・・。なぜかコンタクトの段ボールに変化して友香に届く・・・で、それを付けた友香は、仙界に・・・ん?なんかワープする場所あった?滝つぼとか?」

「ない。つけて学校へ向かったら視界がぼやけて仙界に変化してた。」

「そっか・・・とりあえずおいて置こう。そこで、葉っぱ仙人さんとかと会って・・・で、滝つぼからこっちに戻って来たと。」

「合ってる?」

コクリと頷いて

「この件と5丁目の蛇あやかし親子が関係するなら・・・呪いをかけたのは、蛇あやかし親子ってことになるよね。で、それが、なんで私なのか?というのと親子がどこに行っちゃったのかを考えないといけないってことかな?」


話が纏まりかけた時、丁度、蓮にいが帰宅したのだった。


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