第16話 穴から金ぴか仙人

「ここ、ここだじょ~。」


そこは、キラキラと輝いて小さな穴が開いていた。


「ここに~こうして~てをいれたじょ~。でてきたじょ~せんにん。」

「えっこの中にいたの?」

「そうだじょ~。ゆか、いれてみるじょ~また、でてくるじょ~。」

「って何が?」

「しらないじょ。でも、まだ、でてきそうだじょ。」


そう言うと子鬼は、にこにことして、私に手を入れろと引っ張ってくる。仕方なく、こわごわその光穴に手を入れると何かに触れた。


「うわー---!!!」

「なっなんだよ!!どうした友香。」

「なんか触れたよ!!」

「だから、どんなのだよ。」

「えっわかんないよー--。でも、なんか触れたよ。」

「よし、代われ!!俺がやる。」

「きゃー--圭太くん。男前。」

「ほんと~。圭太っち男前。ふふふ。コン」


三橋くんは、ゴクリと喉を鳴らして、真剣に穴を見つめて恐る恐る手を入れていく。


「お~!!なんかいるな。よし!!つかんだ!!引っ張り出すぞ!!せーのー!!」


全員が凝視して、三橋くんの手をみつめる。


「や!やめんかー--馬鹿者!!こりゃ~。」


『ええええええ!!!!金ぴか仙人様~!?』


三橋くんにつかまれて、叫びながら現れたのは、金ぴか仙人様だった。


「なんだ、お前たちは、わしをなんじゃと思うておる。いきなり手でつかむとは!!お仕置きでもせねばならんの!!」


そう言うや否や、三橋くんは、コツンと金ぴか仙人の杖で叩かれた。その途端、三橋くんの頭にモフモフの耳とお尻に長い綺麗な尻尾、顔にはピンピンと跳ねるような髭が・・・まるで猫だ。


「圭太・・・・・あのさ、猫になってる・・・。」

「えっ俺?俺が?」


皆、コクコクと黙って頷き、三橋くんを見つめた。


「モフモフだ・・・すごい!!可愛いよ圭太~。その耳!!尻尾!!」


パフパフと触ってさらに触り心地の良さに皆が触り始めた。三橋くんは、皆に触られて恥ずかしさで顔を真っ赤にしてもじもじし始めた。


「ちょっちょっと・・・皆さん!!やめてもらえません・・・。」

「ごめんごめん!!ついつい」

「ほんとごめんね~圭太くん。」

「こんこん。」

「しっぽだじょ・・・ほしいじょ。たぬきちといっしょだじょ。」

「痛いよ。子鬼。尻尾をぎゅうっとするな。」


こくこく頷いて子鬼は、尻尾から手を離したら、また、ぴゅーっと走ってブロックが置いてあるところに行った。


「仙人様知らなかったんですよ~。すみません。元に戻してください。」


三橋くんが謝ると臍を曲げていた仙人も仕方なさそうに『今回だけじゃ』と言って元に戻したが、私の内心は、もっと触りたかったなとちょっぴり思っていた。もちろん、この内心は、おのずと伝わり、三橋くんがぎろりと睨んだ後、ニヤッとして『俺は、お前がモフモフなのを見たかった』と頭の中に話してくるので・・・訳も分からず『もうっ!!』と叫んでしまった。


「何?友香っち急に???」


ぶんぶん首と手を振って違う違うとまた、挙動不審になってしまったがとにかく話を元に戻そうと金ぴか仙人に話しかけた。


「金色仙人様・・・どうして、穴から出てきちゃったんでしょうか?」

「こっちが聞きたいわ!!」

「実は、先ほど、そこから1丁目仙人さんも出てきたんですけど・・・。」


その話を聞いた金ぴか仙人は、少し考え込んだ後、仙界での出来事と関係あるかも知れないと話し始めた。


「実はのう~。5丁目の牢獄にいたあやかしが・・・足らんのじゃ。どうやって、逃げたのか?分からんのだが・・・。」


『えー----!!!!』

「それって!!やばくないんですか?」

「ん?そうじゃな・・・ま、それなりにな。」

『それなりー--!!!』

「ちょっと皆、交互で叫ばないでよ!!」

「だって、だって、友香ちゃん。ママン怖いわよ。河童さんに何かあったら・・・。」

「え?そこ?」

「そうよ~大事な河童さんに危害を加えるかもしれないわ~。」

「もうっお母さんは黙ってて!!」


私は、三橋くんに目で合図して、『話をもどして~』と頭で会話した。『らじゃー!!』とへんじあってすぐ三橋くんは、先ほどの図を金ぴか仙人に見せながら5丁目の事件を書き込んだ。

その図を見ながら1丁目仙人が『ここ』と指さした。


「ここで、わしが、つついたな。ハスの実を貰いに出かけたらボールが飛んできたと思ってチョンとつついたら、はずみで更に遠くへ飛んだんですごいのうと思ったから覚えておる」


『やっぱり~』


皆の白い目が一斉に1丁目仙人に集まった。


「なんじゃ~なんでそんな目で見るんじゃ~!!」

「だって、仙人さんが狐仙女さんつつかなきゃ、きっとこんなことになってないからだよ~。」

「なんじゃと~わしだけのせいなのかー--?」


こくこくと皆が頷く中、どんどん、小さくなる1丁目仙人であった。


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