第15話 仙人さんを呼び出そう
狐仙女は、『コン』と泣いてクルンと一回りすると一瞬で消えて居なくなった。1丁目仙人さんを連れてきてくれるようだ。行動が早すぎて、皆あっけにとられたが、早いに越したことはないかということで、段ボール事件についての意見を出し合っていた。
「まず、スイレン仙女さんの匂いが段ボールからしたのは、多分、狐仙女さんを探すのに飛ばしたって言ってた種なんじゃないかな?って思うんだけど。」
「そうだよな。一応、飛ばした種は、狐仙女を見つけたけど、段ボールに変化してたからスイレン仙女に報告できなかったからそこに、匂いでマーキングしたんだと思うぜ。」
「そうね~圭太君、ママンもそう思うわ~、ね?河童さんもそう思うでしょ?」
「お、おう。そうだな、ママン。」
「河童さん、お母さんになんでも意見揃えないで、自分で考えたことあったら言ってよね。それに、お母さん!!私が最初に言ったのになんで、圭太なの~っもう。」
「ママンが間違っていないとお、思っただけだ!!うるさいい。」
「そうよそうよ。ね~河童さん。」
そんなやり取りをきょろきょろしながら子鬼が見ていたが、飽きたらしく、また、パタパタと庭の隅に何かを見つけたのか走って行った。
「そうだ!!河童さん、狐仙女さんってどんな術が使えるの?」
「なんでだ?」
「だってさ、狐仙女さんは、警戒されて飛ばされちゃった後、段ボールにされちゃったんでしょ?多分・・・。それなら、警戒される理由がいるじゃない?」
「そうだな、そこは、知っとかないとな!!河童さんどうなんだ?」
「あんまり・・・知らん。一つだけ知っているのは、人の運を変更したり移動したりできる事だ。狐様は、吉祥天様と黒闇天様のお使いをしているからな。」
『ええええええええええええ!!!!!』
皆が一斉に声をあげて驚いた。
「いやいやいや・・・それってすごくない?」
「だよな?すごいよ。だって、あれだろう・・・。宝くじとかもそれで、当たるってことだよな?」
「いや~ん。ママンも運欲しい!!」
河童さんがその反応に驚いて制止した。
「お前たち!!運は、一人ずつ決まって生まれてくるの知らないのか?そんな、移動したり変更したりしたら、後でどうなるか分かんないんだぞ。寿命と一緒だ!!」
『へええええ~』
そんな風に皆で納得していたら『コン』と聞こえて狐天女さんが帰って来た。
「それがね~居ないのよどこにも~1丁目もスイレン郷も見てきたんだけど・・・。」
「えー--っじゃあ、こっちに来てどっかで遊んでるんじゃないのかな。」
河童さんもそれにコクリと頷いている。
「そんなことないわ、それなら私の力で分かるもの~。葉っぱちゃんの居場所ぐらいね。」
「そうなの?」
「そうよ。友香っち・・・あーた、私をなんだと思っているの?」
「へへへ・・・。」
「まあ、いいわ。この家、居心地いい良いから許してあ・げ・る。」
仙界1丁目仙人がいないとなると、状況の話が進まないと皆で思案していると庭の隅に行っていた子鬼がまた、何かをつかんで持ってきた。
「ゆか~これ、あげるじょ~せんにんだじょ~。」
「えっ仙人?子鬼、仙人って言った?」
「いったじょ。せんにんだじょ」
子鬼の手には、小さくなった仙界1丁目の仙人が握りつぶされそうになってジタバタしていた。さっきと同じで小さすぎて声が聞こえないので、近づいて耳を澄ましてみた。
「助けて~何とかしてくれ!!」
「あら~そんなに小さくなっていたのね~感知できないわけだ~コン。仕方ないわね~戻してあげるコン。葉っぱちゃ~ん元に戻れ~、コン!!」
狐仙女さんが指先でちょこんと1丁目仙人に触れると1丁目仙人は、光輝いてもとに戻りそう・・・だったが、途中で止まって、少ししか大きくならなかった。
「あら?やだ・・・。どうしてかしらん?」
狐仙女さんの力では、1丁目仙人はもとに戻れず、トランプぐらいのサイズからリカちゃん人形サイズになったお陰で、幾分か大きく声が聞き取れるくらいになった。
「まったく、誰じゃ~こんな姿にしおってー--ぷんぷん。」
「誰にされたか知らないの~葉っぱちゃん。」
「分からん、こっちに来てすぐ後ろから殴られたからの。」
さらに、謎が増えたと思い皆で顔を見合わせて、思考放棄したい気分が漂ってきたがそうも言っていられない。気持ちを取り直して、私は、子鬼の頭をなでなでした。
「子鬼ー--えらいぞ!!仙人さん見つけてくれて!!なんで、わかったんだ~?」
「ひかってたじょ~。」
「光ってた?」
コクコク頷いて、光っていた場所を指さした子鬼は、また、その場所へ走り出した。
「あそこに何かあるんじゃないか?友香。」
「そうだね。そんな感じがする。」
皆が頷いてそこへと向かってみた。
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