第13話 狐仙女とスイレン仙女

河童さんとの話を纏めると、私だけがあのコンタクトで転移したんだろうということは、分かった。となるとやっぱり、コンタクトを送った人が誰なのか?だけど、物が消えていて追跡するわけにもいかない。


「あ、狐仙女さんは、どうして、コンタクトの段ボール箱か?だよね。」

「そうだな・・・ただ、下界に飛ばせばいいだけなのをわざわざ段ボール箱にするなんてな~。」

「そもそも、なんて言って怒らせたかってのも気になるよね。」

「そうだな、狐仙女さんは、今どこにいたっけ?」

「蓮にいの部屋で昼寝してるんじゃない?」


2階にある蓮にいの部屋へ駆けあがり、狐仙女を探したが見当たらなかった。

『あれ?どこ行ったんだろう・・・。いつも蓮にいのベッドの上で日向ぼっこしながら寝てるのに。』と思いながら三橋くんに居ないことを伝えた。


「圭太~、いないわ~。狐仙女さん。どこ行ったんだか・・・。」

「んーーー。じゃあ、仕方ないよな。スイレン仙女さんは、仙界だから聞けないしな~どうする?」


私と三橋くんは、河童さんの所に戻って、十中八九知らないと言われるだろうと思いながらも、喧嘩の原因が何なのか知ってるか聞こうと考えた。

案の定、開口一番に『知るかーーー。』と叫ばれたがその後の話に驚いた。

河童さんの話によると狐仙女とスイレン仙女の師匠が、あの金ぴかのちっさい天界仙人で、久しぶりに天界に上がれる仙女が誕生するかもと言われた二人らしい。


「仙界一丁目には、あんまり関係ない話だったけど、有名だったからな~。それにスイレン様は、一丁目の番人みたいな役目もしてたし~な~。九尾様は、スイレン様の周りをよく飛び跳ねてたから・・・知ってるだけだったけど、まさか一緒に住むことになるとは思わなかったぜ。」


「あのさ、今、ふと・・・、思ったんだけど。仙界って何丁目まであるの?」

「おーーー。友香、俺も今、聞こうと思った。ってか聞こえてたか。」


三橋くんの声をスルーして、河童さんに聞くと仙界は7丁目まであるらしい。

ちなみに天界は、知らないらしく・・・『お前、俺が、天界の事まで知るわけないのだろう。バカか?』と言った。


一丁目は、人間を化かして楽しむぐらいの弱いあやかしと修行を始めたばかりの仙人が済むところで言うなれば、一番人間に近い存在のいる場所なんだとか。二丁目から三丁目は、鬼族や天狗族が住んでいて一丁目を卒業した仙人の修行の場らしい。四丁目は、術も使えるし人も殺めることができる極悪あやかしと呼ばれるぐらいの強いあやかしたちとそれを見張れるくらいの仙人がいて、それを修行としている。五丁目は、あやかし牢獄があって、下界で悪さして捕まったあやかしを投獄して、管理する怖い場所だと河童さんは、ぶるぶる震えて説明してくれた。

が、しかし、・・・自分が行けないとこまで良く知っているな?と思えた。


「あのさ、河童さん、やけに自分以外のとこも詳しいよね。すぐ『しるかーーー』って叫ぶのに。」


「あ、当り前だ。仙人が聞いてもいないのに教えるからだーーー。」

「あの、頭が葉っぱ仙人さん?」

「そ、そうだ。五丁目の怖い話を直ぐするんだーーー。くそーくそーくそー。」

「ふーん。でも、一丁目なのに五丁目の話をよく知っているよな?」

三橋くんが口を挟んで河童さんに言うが、それこそ、『しるかー』っていう世界だった。

「もう、圭太、横いれないでよね。」

「おう。つい、聞いてて思ったからさ、あの仙人って謎だよな~・・・って。本当に一丁目仙人なのかな?すぐに、天界仙人連れてきたりさ~。」


まあ、三橋くんの意見は、そう言われてみればとか思うが、実際、河童さんや子鬼が帰れてないんだから、それほどではないのかな?とも思えた。


「でも、すごい仙人さんなら、河童さんたち連れて帰れそうじゃん?」

「そっかーーー。それだよなーーー。」


「あったりまえよんっ。コン。」

「い、いつの間にーーー!!」


全員目が点になって叫んだ。

狐仙女がいつの間にか会話に加わっていたのだ。


「仙界と下界を繋げて、行き来できる扉を開けるなんて、天界仙人しかできないもの。コン。そんな事できたら、こっちが極悪あやかしの森になるわよん。やつら、なんとかして、こっちに来て、こっちをあやかしの世界にしたいといつも思ってるんだから。」


みんなして、狐仙女さんの話を『へーそうなのか~』とコクコク頷いて聞き入った。


「もしかするとさ~アンタもアタシも~それに、利用されたのかもよん。コン。」


突然の気気付てならない言葉に私は、驚いて後ろにこけそうになった。


「えっ?えーーーーー!!ってかどこ行ってたんですか?」

「ちょっとね~。スイレンちゃんに会いに行ってたわよん。コン。」


その言葉で、何かが分かったのだと思いみんなで一斉に狐仙女に飛びついた。

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