第12話 河童さんに聞いてみよう
私と三橋くんは、他の迷い人の違いが何なのか?一つ目の問をまず、河童さんにぶつけて見ようと思いたった。
その頃、河童さんは、子供用プールでまるで、バカンスさながらにビーチパラソルまで立ててもらって、天を仰いで母からもらった胡瓜をぽりぽりと食べていた。
母は、その傍らでビーチチェアを置いて、これまた、バカンスの気分でトロピカルジュースを飲んでいる。ついでに、子鬼は、たぬきちと蟻んこを追いかけていた。
私たちが、庭先に向かうと子鬼が気付いて、何かを握ってパタパタとやってきた。
「これ~あげるじょ。」
子鬼の開いた掌に乗っていたのは、小さいおじさんだった。あまりにも小さくて、声が届かないが何か叫んでいるのだけ分かる。
「なんか、キーキー言ってるな。」
「うん。飛び跳ねて怒ってるけど、これって妖精の類なのかな?」
三橋くんが指でツンツンしたら更に怒って噛まれた。
「いてっ!指を噛まれた!」
「ちっさいもの発見隊の圭太くん、君なら分かるんじゃないのかい?このおじさんの正体を?」
と冗談ぽっく私が聞くと
「いや、やっぱ、ちっさいおじさんだろう。テレビでよくやってるじゃん。芸能人が見たとかさ~。」
「でも、ウィキとかで見たら8センチほどって・・・これ2センチ?ないよね?」
「幻のもので、そんな正確に書いてるものを信じる方がこえーよ。話を広い集めて、書いてるだけだろ〜あれって。」
二人で小首を傾げながら、とりあえずその小さなおじさんは、庭に解放して、子鬼に捕まえないよに言う。
「子鬼~可哀そうだから、逃がしてやろうな。」
「わかったじょ。あっちにもっといるじょ。あっちにするじょ。」
そう言って、走り出そうとする子鬼を捕まえて、とりあえず違うことをさせようと思いついた。
「まて、まて、う~ん・・・。そうだ、捕まえるんじゃなくて、なんか・・・家でも作ってやるか~。確か、子供の頃のおもちゃが倉庫にあったような・・・。ブロック・・・ブロックっと。おっあった、あった。」
子鬼にブロックのおもちゃを渡し、組み立て方を教えると喜んで遊び始めたので、ようやく河童さんに話しかけることができた。
「なんか、脱線しすぎたね。」
「だな。」
「ちょっと、ちょっと、河童さん、聞きたいことあるんだけど。」
ぬっと、プールに二人して覗き込むと、河童さんは、驚いてプールから転げ出そう・・・になった。
「くそーーー。くそーーー。お前、なんで、いつも驚かすんだ!!」
「別に~驚かしてないけど~。河童さんが勝手に驚いてんじゃん。」
「う、うるさい!!な、なんだ、?き、聞きたいことって・・・。」
そこで、私は、他の迷い人と自分に違いがなかったのかを聞いてみることにした。
「だからさ、目の色とか以外で特徴とかなかったのかってことなんだけど。」
「そういえば・・・男しかいなかったぞ・・・。お前みたいに元気じゃなかったな。あと、俺たちの言葉は、通じなかった。お前が、おかしかったんだ。普通に話せたしな。」
「???んん。えーっと。普通に、話せなかったのに、どうやっていつもあの滝に連れて行ってたの?」
「俺は、いつもからかって、連れてなんかいかない。話せないんだからな。俺の後をついて来た奴らが仙人に出会って、あそこに連れていかれるから知ってただけだ。面白そうだったし、たまにあそこに見に行って、からかってたら・・・突然走り出して滝つぼに飛び込んで消えるんだ。それで、一緒に、飛び込んでやったこともある。仙人に頼まれて飛び込んだこともあるけど・・・こっちに来ることなんてなかった。」
うんうんと頷きながら聞いていたら三橋くんが河童さんの話に割って入った。
「あのさ、男の特徴って何?みんな同じような感じ?」
「ばらばらだな・・・見た目も違う。でも、元気がないやつばっかりだ・・・それか慌ててるやつだ・・・。慌ててるやつは、車の話をしてたぞ・・・。」
「それってさ、自殺とか事故ってことか・・?・?。」
三橋くんのその言葉に、全員が顔を突き合わせて妙な空気が流れたが、とりあえず話を進めようとさらに聞いてみた。
「じゃあさ、他には?なんかない?思い出してよ河童さん。帰りたいでしょ河童さんだって?」
「え~河童さん帰ったら、ママンのお話相手がいなくなっちゃうわ~。」
母が、突然、割って入って河童さんは、母の顔をマジマジと見る。
「ママン・・・。」
「河童さん・・・。」
「ちがー--う!!なんだ!その空気!!今、そんなお別れ空気出さないでよ!!お母さん!!」
「だって~。帰るかもしれないんでしょ~。」
「お母さん!!娘の心配しなよ!!」
「友香ちゃんなら。だ・い・じょ・う・ぶ~でしょ!!」
母の態度に三橋くんは、ケラケラと笑いながら見て言った。
「おばさんらしいな~。ハハハハハ。」
「笑い事じゃないよー--。話が進まん!!」
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