第11話 呪いってなに? 2

狐仙女は、兄が気に入ったらしく毎日、兄の胸の上で寝ている為、兄は、毎日うなされているらしい。うなされる度に、胸の上に眠る狐をどけるが、知らぬ間に、また乗るので、最近は、仕方なく布団の中に入れて、腕枕をしているらしい。

始めこそ、あの豊満な姿を想像したらしいが、兄にとって今は、完全にペットの様な存在である。


河童は、プールがベッドの為、部屋の外で朝な夕なとのんびりしておりこちらの世界に意外となじんでいるが、食事がおいしいらしく、少々太り気味だ。子鬼に至っては、父と母の間で普通の幼児の様に育っているようにすら見える。


時折というより、ほぼ毎日の様にやってくるようになった三橋くんは、最近、小さなあやかし探しに嵌っている。こないだのススワライのせいだ。


「兄ちゃんと狐、仲良いよな。兄ちゃん起きてる時も膝にいるし・・・。」

「そうなんだよ。でもさ、蓮にい、仕事で遅いときは、割と怖い思いしてるらしいよ。せいでさ~。変なあやかしが、後を着いて来たりとかして・・・。」

「げっそれ、やだな・・・。ちっさい、あやかし見つけて遊んでる俺とは、大違いだ。」

「ほんとほんと!圭太、毎日、新種発見とか訳わからん。あ~それより、呪いってなんだろう?あれから、黄金(天界)仙人出てこないし・・・。」


気が付けばこんな生活が始まって、もうすぐ1ヶ月になろうとしている。


「俺さ、こんな風に見えるようになったから、アニメみたいにバトルする日が来るのかなとか思ってたんだけど・・・。何にもないよな~。今では、ちっちゃなあやかし発見隊だよへへへ。」

「へへへじゃないよ。毎日、毎日うちに来て・・・。おかげで、最近、付き合ってるとか言われてるじゃん。夏休み入ってからは、冷やかされないから良いけど~。」

「んだよ。そんなことーーー。まっ俺は、付き合っても良いけどな~。」


へらへら笑いながらそんなこと言う圭太に私がすこーし切れた。


「はあああああああーーーん?どの口だそんな軽口で言う口は!!」


三橋くんのほっぺをひねって、怒ってやるとブーたれながら文句を言った。


「何だよーーー。いって~な。友香。別に嘘は言ってねえだろ~。」

「タイミングとか~いろいろあるじゃん!!バカ圭太!!フン!!」

「ちぇっ。」

三橋くんは、少し拗ねていじけているが、そんな告白じみたものを軽々しく言われた乙女な私になってみろ!!と心で思った。


『しまった。』


そう。私たちは、テレパシーで話せるのだった。つまり、今の声は、圭太に駄々洩れだ!!振り返って圭太の顔みた。

『うわ~っっ!!』私

『うわ~っっ!!』圭太

・・・・・・・・。沈黙だ。頭が真っ白だ。おかげで、テレパシーで感じる言葉も降ってこない。


そんな沈黙が数分だろうか?続いた後、三橋くんが先に口を開いた。


「あのな、引っ越してからさ、すごい・・・後悔したんだよ。・・・俺。ちゃんと話すべきだったって。周りに囃し立てられて、恥ずかしくてしゃべれなくなったまま、引っ越ししちゃっただろ、だからさ、入学式でお前、見つけた時に・・・今度は、ちゃんと話すんだって、思ってたんだ。だから・・・。」


「あ・・・あ、って、え?嫌ってたんじゃ?無かったの?」

「どこをどうすりゃ・・・嫌ってるになるんだよ。ちっちゃい頃からずっと一緒に過ごしてたのに。」

「なんだーーー。私、また、なんかやらかして嫌われてるのかと思ってたよ。そんで、何にも言わずに怒って引っ越してしまったって思ってて・・・。案外、ってか鈍感だからさーーー。ほら、圭太のお菓子とか間違えて食べたりして、がさつだとか言ってたじゃん。・・・なんだ。誤解かよ~。」

「あー、お前の鈍感さもガサツなのも超級だからな。ハハハハハ。だからって、そんなことぐらいで、嫌うかよ。俺が・・・。だ、だからな・・・俺が一番お前の事知ってるから、丁度いいだろ?」

「いや・・・それとこれとは、話が別だよ。そ、それに、今は、呪いの話してたじゃん!!この、他の話は・・・あとあと。」


私は、この変な空気に終止符を打ちたくて、話を無理やり切り替えたが、顔は赤く火照ったまんまだった。それは、三橋くんも同じようだ。


「わーったよ。まず、呪いな・・・。それが解決したら考えとけよ。」


突然の状況に思わずコクリと頷いてしまった後、『なんだ?このコイバナモード』にドキドキが止まらないまま、呪いについてを話し合う私と三橋くんだった。


二人で一から考えようと図を描きながら整理して話していた時に気づいたことがあった。


「やっぱさ、原点は、コンタクトがどこから何故届いたかだろう?で、箱が狐ちゃんで、スイレン仙女が関わってる。ついでに、来るはずのない河童と小鬼が着いて来た。ってことは、コンタクトを出したやつは、仙界の生き物なんじゃね?」

「そうかも・・・。前に河童さんが、滝に飛び込んだ人追いかけた時は、こっちに転移してないもんね・・・。そうだよ。私の場合と何か違いが有るってことだよ。」


私と三橋くんは、お互い目を見て頷いた。






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