第8話 家族会議+あやかし

私、父、母、蓮にい、そして河童、子鬼、仙人が揃い家族会議が始まった。

まず、私から経緯を説明した。


「・・・ということで、河童さんたちが一緒に来ちゃったわけだよ。」


見えている以上は、納得しなくてはいけないと思う兄と突飛な出来事を普通に受け入れて楽しむ両親に分かれて、今後、河童さんたちとどう暮らすのか?どうやって、元の世界に返すのかを議題に家族会議は進んだ。


「まず、蓮だけ見えないのをどうにかしないと・・・生活しにくいな。」

父の意見に皆が頷いた。


「そうね。仙人さんたら出たり消えたりするし~。その度に、見えたり見えなかったりとかってね~」

母は、頬杖をつきながら心配げに子鬼を抱っこして言う。


「だよね。仙人さん何とかなんないの?」


「ふむ。ちょっと、待っておれ・・・天仙界の先輩に聞いてきてみよう。何せ大先輩、知っておるかもしれん。」

言うが早いか消えるか早いかの状態で仙人は、また消えていった。


「はっ!!また、こっちの意見も聞かずに・・・!!仙人め~!!」


仙人が消えたから兄にには、また、子鬼と河童が見えないので、母は、兄に動かない様に言った。


「お兄ちゃん、河童さんとか蹴飛ばしそうだから、むやみに動かないでね。」

「そんなこと言いだしたら、トイレにも行けないだろ・・・母さん。」

「そうだけど・・・。」

「まあ、まあ、そこは、私たちが、居ることを伝えたらいいじゃん。お母さん。」


そんな会話をしつつ仙人を待っていたがなかなか戻ってこない。痺れを切らして、兄が私を異世界へ飛ばしたコンタクトの件を持ち出して、そのコンタクトはどこだと言い出した。


「そのコンタクト残りはどうしたんだ?友香。」

「えーっと、そう言えば、机の上に置いたままだったかな?ちょっと待って取ってくるよ。」


タッタッタッと部屋に急いで戻り、箱を探すが見当たらない。

「どこだっけな?おっ!あったあった。これ?これは、いつも頼んでいる方のだな。でも、あの時、これ、入ってたのかな?。そうだ。洗面のゴミ箱にあのコンタクトの入ってた小箱の方が・・・。」

そう思い洗面室に戻るとゴミはすっかり消えていた。

「お母さん洗面室のゴミは?」

と叫んで聞いてみた。

「えー?。今日ゴミ収集の日だから捨てたわよ。」


仕方なく、それ以外の外身の段ボールだけ、リビングに持って行って説明をするしかなかった。

「聞こえてたと思うけど・・・。実際、入ってたコンタクトのパウチは、もうないし。そう言えばあれ、一つだけのおまけのカラコンだったんだ。後は、いつも頼んでるコンタクト。だから、外身の段ボールしかない。それと、入ってた説明書も見当たらないから、捨てたかも・・・。」

「なんだよ・・・。手掛かりにならないじゃん。」


手に持った段ボールに河童さんが急に寄ってきて、突然匂いを嗅ぎ始めた。

クンクン・・・クンクン・・・。

「この箱・・・なんか、変だ俺たちの世界の匂いの様な気がする。」


その箱を私から奪った河童さんは子鬼とたぬきちにも匂いをかがせた。さっきまで、母の用意したクッションでぬくぬくと寝ていたたぬきちだったが、段ボールのその匂いでピョコンピョコンと撥ねた。子鬼も、お花の匂いがすると言い出した。

「スイレン!スイレン!」


ここで、兄以外のみんなが叫んだ。

「たぬきち!!!話せたのか?」

コクコクと頷いて、またピョコンピョコンと撥ねた。


「そうだ、スイレン郷のスイレンの匂いだ!!」

河童さんが思い出して段ボールの匂いをもう一度嗅いだ。

「スイレン郷?そんなとこあったけ?。河童さん。」

「お前!一日もいないのに分かるはずないだろう。」

「そりゃそうだ。あはははははは。」


兄は、自分に聞こえない会話にイライラし始めて叫んだ。

「おい!仙人!戻ってこい!!訳が分からんだろう!!」


すると、ひょろんと現われる仙人。その手に光る何かが乗っている。

みんなは、その手の方にズイッと寄って行ってまじまじと見る。絵本で見るような小さい光る仙人だ。思わず指でツンツンしたくなってしようとした光で指が弾かれた。


「これ、無闇に触るでない・・・。全く・・・失礼な者どもじゃ・・・。」

小さい仙人がプンプン怒っていった。


「申し訳ございません。天界仙人先輩。何せ、下界のものですから。」


私は、心の中で、『下界のものですから・・・?』なんかすごく失礼なこと言われてる気がしていたら、天界仙人に見透かされた。

「失礼なものか・・・欲にまみれた下界の者ども。」

「えっ?別に欲には・・・まみれてる?」

みんなで顔を見合わす。

「まあ、良い。して、こんなとこに呼び出して何用じゃ?」

「え?仙人さん、何にも言わずに呼んじゃったの?この天界仙人様を?」

黙ってコクコク頷く、仙人さんに、家族全員どころか河童さんもあきれるのだった。









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