第2話

 エインストを見送ったシモンはしばらく呆然としていたが、自分が仕事を失ったことにようやく気付き、動揺した。


 もちろん後悔はしていなかった。ガルムは初めてできた隷獣であり、シモンの冒険者としてのキャリアはずっとガルムと共に歩んできた。

 いらなくなったからといって、簡単に捨てられるわけがない。


 しかし、予想通り自分を迎えてくれるパーティはなかなか見つからなかった。


 組んでくれるパーティが見つかるまで、ソロ冒険者としての活動を始めた。

 とはいえ、彼とガルムだけで稼げる程度の金銭では、生活はすぐに貧窮した。


 安い宿ではガルムのような魔獣を受け入れてもらうことはできず、誤魔化しながら部屋を取り、見つかって追い出されるという行為を繰り返すうちに、やがて泊めてくれる宿もなくなった。


 いっそ王都を出たかった。

 だが、ガルムがいると馬が怖がってしまい(それもシモンが他のパーティに入れてもらえない理由のひとつだ)乗合馬車を使うことができない。

 それに、冒険者に慣れている王都でこの扱いなのだ。地方に行けば魔獣使いという職業がどのような扱いを受けるか、考えるまでも無い。


 シモンは擦り切れるように疲弊していった。


 日中はソロ冒険者としての仕事を同時に何件もこなし、夜はガルムと抱き合い路上で寝た。

 寝てる間に少し泣き、朝にはその涙をガルムが舐めとり、励ましてくれた。


 そんな生活を続けていたある日、シモンは偶然エインストと再会した。

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