第5話 私の配信

「まぁた登録者が増えてるよ...」


 私は『ミソロギア』という会社に所属しているプロゲーマーである。

 それと同時にホーラという名前で動画投稿や配信も行っており登録者は6000万人と世界一位、というわけではないが日本では一番登録者が多い。まぁ、これに関しては私が外国語を話す事が出来るのでそのおかげで外国

人のファンが多いというのが関係している。

 そんな私なのだが配信のペースはかなり遅い。優來との人格交代があるのでどうしても配信をできない日が続いてしまうことが多々ある。それでも何故か登録者が減ることは無く逆に増え続けているまである。


「ま、気にしたらあれだし配信始めますか」


 コンビニに寄っていた途中にイイッターで配信することは宣伝しているし、エイム練習も終わっているので既に始められる状況は整っている。

 時間も配信開始時間と丁度良くなっているのでもう始めていいだろう。ってか配信開始時間だから始めないと駄目なのだが....


『一週間ぶりの配信始めるよ~』


:一週間ぶりだなホーラ

:さて20連勝までにかかる時間は一体何分何でしょうね...

:流石に分はないだろう

:↑初見か?

:初見じゃなかったらそんなこと言わないだろ


 私の声が聞こえてくるとコメント欄が加速する。割といつもの光景なのでこの速度のコメント欄を見るのも慣れたものである。

 コメントの中に分で終わると言っている人がいたのでそれについて言及することにした。

 

『今回はランクマだし流石に2時間くらいはかかると思うよ?』


:はいはい。ワロスワロス

:一試合20分前後のはずのゲームを2時間で終わらせるのは....

:まぁ、いつものホーラだな

:前に海外サーバーで10連勝を30分で終わらせた奴が何言ってるんだ...

:字に起こすのは簡単だな...


『あれは人の減りが早かったし偶々だよ』


 一か月くらい前にマネージャーに言われてラグの重い海外サーバーでソロプレイ10連勝出来るまでの耐久配信をしたのだが30分くらいで終わってしまったことがある。

 まぁ、カジュアルだったこともあったので凸ってくるパーティーが多かったと色々な原因が重なってこのスピードで出来た...んだと思う。


:ダウト

:ホーラのは全て実力なんだよな....

:何で大会に出ないんだよ!

:↑明言してるぞ『めんどくさいから』って

:なぜそんな理由で有名大会に出ないんだよ...


『めんどくさい物はめんどくさいじゃん?それに動画の収益とみんなからのスパチャで十分お金は稼げているしね』


 スパチャと動画の収益、それに加えて姉さんの給料等々で生活に不自由はしていないので大会にお金目的で出ることは決してない。それ以外なら出るかもしれないのだがめんどくさいのでやはり私が大会に出ることは無かった。

 まぁ、後輩たちが出るなら応援のために出てもいいかな...?と最近は思い始めてもいるのだが....

 


:くっ、さっきスパチャしてしまったせいで先輩にできない....

:もうしてるなら十分だろwww

:つまりホーラは俺達が養っている?(迷推理)

:成程?

:いや、違うだろww


『うーん...私はどっちかと言えば姉さんのお世話になっているかな?あと、ラケシスちゃんはもう満額なの?!』


 今の現状は私の収益と姉さんのお金で暮らしているのだが私の方は入ってくるお金の半分以上を親に奪われているので姉さんに私と優來は養われているというのがかなりあっている表現だ。勿論家賃などの半分は私が払っているのだがそれでも姉さんに養われているのは否めない。

 しかしそんなことはどうでも良くて今一番大事なのは私の後輩であるラケシスちゃんが満額....つまりは五万円分のスパチャをしているということだ。


:初手赤スパしてたぞ

:流石にホーラも困惑か

:先輩ガチ勢としては当然です

:私もすでにしてますよ〜


『うっそ、アテナちゃんも?!』


 ラケシスちゃんだけでなく他の後輩、アテナちゃんも私に満額のスパチャをしていたことが判明。私の後輩皆お金大丈夫なのだろうか?

 まぁ、2人とも登録者600万人は超えているし、お金もそこそこは持っているはずなので心配し過ぎというものだろう。


『ってかこのマッチ最悪過ぎない?』


 さっきも言ったがこのゲームにはランクマッチがあり当然のことだがランクが上がれば上がるほどプレイヤーは強くなっていく。その中で特に一番上のエンペラーランクになるとその強さは人外と言われるくらいには強くなっている。

 そしてそんなエンペラーランクのプレイヤーの中でも順位付けはされており今回のマッチでは2位から4位のプレイヤーがチームを組んでいるので最悪のマッチなのだ。


:エンペラーランク1位が何を言ってるんだが...

:お前の仲間も5位と6位だろうが!

:化け物マッチすぎる....

:なぜ野良で上位6人がチームを組んでいるんだよ...

:ほかの人が可哀そう


『偶々でしょ?私だってこの人たちとチーム組んだことは無いし...』


 私は基本ソロでランクマッチか後輩の皆とカジュアルマッチしかやっていないので他のエンペラーランクの人とやったことは無い。


【Can you hear me?】


『It's okay. And are you an American?』


【Yes, I'm an American.】


『 I'm broadcasting now, is it okay to put my voice on?』


【I don't care if my voice is on the stream.】


『Thank you. 』


:発音がネイティブすぎる....

:え、もしかしてネイティブ?

:いや、流石にないだろ

:でも本場の人と変わりないんだよな....


 どうやら5位の人は日本人ではなくアメリカ人だったので英語で話しかけてきたのだが優來が英語を話せるおかげで私もネイティブレベルで話す事が出来る。

 まぁでもネイティブレベルというだけであって私はネイティブというわけではないのだが....


【¿Puedes oírme a mí también?】


『Puedo oírte.』


【¿Puedo empezar?"】


『Espera un momento. No he terminado de prepararme.』


:スペイン語も話せるのかよ...

:万能すぎワロタ

:ゲームと言語に関して無敵かよ

:こっちも発音が良すぎる....


 もう1人の人はスペイン人?の女性であり、スペイン語で話してきたので私もそれで対応する。これでも優來がスペイン語を話せるおかげなので本当に優來様様である。

 私は一応英語もスペイン語も話せるのだがそれではチームの連携がかなり取りにくいのでどうにかしようと思った。


『¿Hablas inglés?』


【Puedo hablar hasta cierto punto.】


『Then I'll make it into English.』


 Patataさん....スペイン人の女性の人が英語を喋れるみたいなので私は英語で喋ることにした。というかPatataさんってスペイン語で芋だし芋が好きなのだろうか?


『I'm ready. I can go now, but are you okay?』


【Of course it's okay.】


【I'm okay too.】


:あーあ、これから悲惨な蹂躙が始まってしまうのか....

:味方は幸運だな

:味方はな....

:敵からしたら最悪だろうな

:そもそもの話ホーラが絶対的な1位だしな


『君達さぁ、本当に失礼じゃない?』


 リスナーたちに色々と酷いことを言われているが私だって負けることはある。最近は本当に負けなしだけど....

 まぁ、基本ランクはソロプレイなのでリスナーの言っていることも一理あるかもしれないが私はそれを認めたくはない。ってかいつも不憫な扱いをリスナーから割と受けているので認める必要はないのだ。


【Where are you going to get off?】


【There is a Hola in first place, and it seems that it is okay to be a little reckless.】


『And what about here?』


:おいそこって

:激戦区じゃねぇかよwww

:いつものホーラムーブを野良でやるなよ!

:馬鹿なのか?


『リスナーは心配性だなぁ』


 リスナーの言っている通り私がピンを指したのはこのゲームで一番の激戦区である。

 ソロプレイの時はいつもこの場所に降りているのだが後輩とやるときは流石に避けている。しかし今日はこのゲームで上位の実力者しかいないので遠慮なく

 

【I'm fine there.】


【There's Hora and I'm fine there.】


『Well, then.... Go!』


  Go!と少し大きめの声量で言うと同時に私はキーボードのボタンを押してその場所めがけて発進する。

 今からバトロワの始まりである!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

VTuberの『俺』とプロゲーマーの『私』 潮風翡翠 @kirisamemarina

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ