第3話 男だって赤ちゃん産みたい~トランスジェンダー

 syo>僕の秘密をお伝えします。聞いていただけますか?


 saki>もちろんです。


 翔は、女に生まれたい願望を持っている事、つまり自分がトランスジェンダーである事をカミングアウトした。


 syo>子供の頃からずっと女の人に生まれたかったんです。


 saki>なぜですか?


 syo>まずは、赤ちゃんを産みたいと思ってます。


 saki>え~っ! 本当ですか?


 syo>はい。


 saki>でも出産ってすごく痛いですよ。鼻からスイカを出すみたいなんて良く言われてます。それから男の人が経験したら死んでしまうとも。


 syo>本当ですか? 僕が子供の頃に読んだ妊娠・出産に関する本にはそんなに痛くないみたいな事が書いてありましたが。


 saki>それは読者を安心させるためにわざとそう書いてあるのだと思います。あとは……


 早紀は少しためらいながら、ゆっくりと話を再開した。


 saki>会陰切開ってご存じですか?


 syo>いいえ、初めて聞きました。


 saki>クーパーって言うハサミのような医療器具で、アソコの下を切る事です。


 syo>えーっ! そんな事するんですか?


 saki>はい。これしないと赤ちゃんの頭が大きすぎる時にアソコが派手に裂けてしまうんです。


 翔はそんな事初めて聞いた。帝王切開でお腹切る事は知ってたけど、まさか自然分娩で体に傷をつけるなんて。


 しかもあんな敏感な場所を。男でいえばボールかポールに傷をつけられるようなものである。


 saki>病院によっては切らないですけど。あと助産院も。ナチュラルバースですね。


 syo>いくら赤ちゃん産みたいと言ってもそればっかりは……


 saki>でも陣痛がすごいから、麻酔なしで切っても痛みは感じないくらいなんですよ。


 syo>陣痛ってそんなに痛いんですか……知りませんでした。


 saki>そうですよ。それでも赤ちゃん産みたいですか。


 syo>それでもやっぱり産みたいです。もっと言えば、たとえ帝王切開になったとしても気持ちは変わらないですね。


 saki>それなら本物ですね。あと他に理由はありますか?


 syo>幼馴染の女の子とのお医者さんごっこで、女性の性感が男よりもずっと強く、続けて何度でも気持ち良くなれる事を知りました。


 saki>そうみたいですね。男の人はエッチの時もあまり声出したりしないですし、3~4回でもう出来なくなりますから。私がお付き合いした人には1回しか出来ない人もいました。この理由はごもっともですね。


 syo>やっぱりそうでしたか。ますます女の人に生まれ変わりたくなりました。


 saki>幼馴染の方はその後どうされたのですか?


 syo>その娘とはその後恋人同士になりましたが、ある日突然行方不明になってしまったんです。


 saki>そうだったのですか。悲しかったでしょうね。


 syo>はい。立ち直るのにかなり時間がかかりました。でもあなたなら、きっとその娘の事忘れさせてくれるんじゃないかって思いました。


 saki>あなたって本当に変わった人ですね。でもなんだかお会いしたくなりました。


 syo>ぜひぜひ。


 ついに翔は、早紀と直接会う約束を取り付けた。


◇◇◇◇◇◇



 読んでいただきありがとうございました。


 次の第4話は、いよいよ翔と早紀がリアルで会う事に。いったいどうなるのでしょうか? お楽しみに!

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