第3話 いざ出陣

ギュウーンギュウーン


エッジ達が持っている敵感知式懐中時計から音が鳴った。

そして…

「皆さん、西方向、E地区聖者の森から敵の襲撃が確認されました。軍人の方々、訓練生達は直ちに会議室に至急お集まりください。」

それは敵の襲撃が確認された放送だった。

この放送が鳴ると、若手の軍人や、教官レベルの人達、そして俺達訓練生は会議室に呼び出され、戦闘態勢や出動人員が言い渡されるのだ。



急いで会議室に集まった軍人、訓練生。

今回隊長として指揮するのはあの鬼教官、神威だ。

「さっき放送があったように敵は西E地区の聖者の森から襲ってきた。敵はコクールン兵約10名、それほどの数ではない。だがコクールンの戦闘技術は遥かに上回っている。そこで陸と空から攻め入ろうと考える…」

神威は低音の声で淡々と話す。

「では人員を発表する。まず陸攻めチームは、デオン、リリーナ、トマ、オーディオ、ナナエ、グルド。空攻めチーム、ロック、ティナ、ユウリ、ファイ、フレア、メリル…そして、両戦担当は…エッジ、お前だ。」

「…えっ俺⁉︎」

突然の発表にエッジは驚く。

他の訓練生達からも驚きの声が溢れ出ていた。

「そうだ。お前は頭脳戦は向かないが、身体能力も技能面も突発して良い。敵によってはどう動くか分からない。その時に両戦で飛躍出来るように…頼んだぞエッジ。」

「は、はい‼︎」

「以上!それぞれ戦闘準備を行い、ただちに向かう。」

「はい‼︎」



戦闘準備では…

「エッジ、お前凄いな‼︎」金髪の不良っぽい少年デオンが肩を叩いて言った。

「確かにエッジさんはよく神威教官に叱られてますが、技能面ではとても良く評価されていますものね…」大和撫子風の黒髪セミロング少女ユウリがおっとりと言った。

「そ、そうかな…ははは!」

エッジは仲間にも評価されているのが実感出来、少し心の中で喜んでいた。

他にも…

「ふぅ〜私緊張するわ。怖いわ…うぅ…」

長い金髪の少女リリーナは臆病で少し弱音を吐いていた。

「大丈夫だよリリーナ。何かあったら僕が守ってあげるから。」

赤毛のイケメン少年トマが励ましていた。

「必ず帰ってこよう!きっと大丈夫だよ!敵も少ないしこんなに人員もいるんだから!」

短髪の活気的な少女ティナも元気よく励ましていた。

「今のうちいっぱい食べておかないとな…モグモグ…」

太っちょ少年グルドはどこで買ったのか、ジャガバターとチキンを頬張っていた。

「お前そんなに食べたらまた太るって!戦車が体重に支えられなくなるだろうが‼︎」

メガネ少年のファイが呆れて言った。

各々準備をしっかり整えつつ、会話をしていた所で…

「みんな‼︎お話はこれまでにしましょう‼︎これから戦場に行くんだから気を抜かないようにね‼︎」

流石メリル、しっかり者の出番が来てみんなに言い聞かせた。

「はい‼︎」

皆んなも俺も答えた。

「教官も待ってる。さあ行こう。」

冷静なフレアが言った。


陸攻めチームは防護服は勿論、ゴーグルに遠距離で使える銃、至近戦で使える剣を持った。

空攻めチームは防護服とゴーグルに、手榴弾や爆薬などを持って、空中からも攻撃出来るように備えていた。

そして各自感知器も持ち、完全体勢になった。

防護服のガチャガチャなる音を立てながら各々の戦車に乗った。

「エッジ、こっちに来い。」

防護服に着替えた神威教官に呼ばれ、エッジは向かった。

「教官、なんでしょう?」

「まずお前は陸から攻めろ。そこで敵の様子を見るんだ。先陣はデオン達に任せ、臨機応変に敵に攻めろ。状況によってはこの感知器で空攻めチームのフレア達に連絡するんだ。お前はキーとなる。決して独断せず、状況に応じて動け。いいな。」

「はい‼︎」

「それと…無茶はするなよ…。命は大事にしろ。」

「…はい。」

いつも鬼教官と言っていた神威らしくない重んじた言葉に、エッジは少し驚きつつも、温かみを感じていた。



陸攻めチームは戦車に乗り、先頭にデオンやナナエが乗る戦車を先頭に向かった。

空攻めチームは飛空挺に乗りたい、フレア、メリルが先頭に空に向かった。


ローデル教会はD地区にあり、E地区にある聖者の森は少し距離はある。

戦車の音、飛空挺の音がアーデル周辺に鳴り響き、市民からは響めきの声や心配する声が上がっていた。

だがこれも彼らの任務。怪我人や死人を出す訳にもいかない。

使命を抱えながら聖者の森へと向かった。

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