第5話 絶対ないから!

先輩は送るよって言うけど…流石にここまでしてもらうのは申し訳ない。

けど先輩は引き下がってくれなくて、

送ってもらう事にした。


「優奈ちゃんって朝何時に家出てるの?」


それ誰得ですか…と言いたいところだけど送って貰うやつがこんな事言えなくて


「8時です。」


30分にHRだからそれまでに教室についてなきゃ行けない。

家から学校まで約15分。


余裕を持っておきたいから私は少し早めに行ってる。


「へ〜早いね?」


先輩が感心したように言う。


そう言う先輩は何時なんだろう…


「先輩は」


「とーあ」


「…叶愛先輩は何時なんですか?」


これから呼ぶ度に指摘を受けそうです…


「ん〜、15分!」


考える素振りをした後ににこっと笑ってそう言う。


「そうなんですね、学校近いんですか?」


15分に出るって結構近いはず。

それか走って学校まで行くか。


「○○公園の近くだよ?」

近いのかなぁ。と言ってるけど、

それ私の家の近く…。

先輩はきっと走って学校に行ってる。じゃなきゃぎりぎり。遅刻だって…


「私も近いですよ。○○公園」


「えっ!そうなの!」


目をキラキラさせて聞いてくる先輩は何だか子供みたい。


「じゃあ明日から一緒に行こ!」


え、先輩に合わせてたら私まで遅刻する…


「いや、、大丈夫です…」


「大丈夫だって!俺が優奈ちゃんに合わせるから!」


言いたいことなんでわかったんですか…


「顔に書いてある!」


また読まれた…でもまぁ、合わせてくれるなら…


「じゃあ明日一緒に行きましょうか。」


「明日からずっと!」


「1回一緒に行ってから考えます。」


むーと言って頬を膨らませる先輩。


「あっ!じゃぁLINE交換しよ?」


「LINEですか?」


「うんうん」


「まぁいいですよ」


そう言ってLINEを交換した後


先輩と他愛もない話をして帰って


家まで送って貰った。


「ありがとうございました。」


「んーん、じゃあね!」


「あれ?優奈?」


「お母さん!?」


なんで、、ここに…


「今日仕事早く終わったのよ〜!」


「こんばんは!俺成瀬叶愛って言います!」


「あら、イケメンさんね。彼氏さん?」


「はい、実は。優奈から聞いてませんか?」


ちょっと!?!?


「お、お母さん!違うからね!先輩も変な事言わないで下さい!」


「あれ、違ったの?」


「違ったの?」


2人で違ったの?って先輩ふざけてますよね


「違うから!送ってもらっただけ!」


「え〜残念。本当に彼氏になってもらったら?」


お母さんがそう言ってふふっと笑う。


「本当になってあげてもいいよ?」



んなっ!


「結構です!」


「楽しみにしてるわ。」


お母さんはにこにこ笑ってるけど先輩なら

やりかねないからやめて欲しい…



「じゃ俺はこれで。」


先輩が頭を下げてそう言うと


「あら、もう行っちゃうの?」


「お母さん!」


もう余計な事を…


「明日迎えに来ますので!」


「一緒に行くのね!優奈にもそう言う人が出来て良かったわ。」


お母さんがほっとしたような顔でそう言う。


「先輩ありがとうございました。」

「おやすみなさい。」

そう言って頭を下げる。


「うん。おやすみ。お母さんもおやすみなさい。では。」


にこっと笑って先輩は帰ってしまった。


「お母さん、だなんて!もー!」

何照れてるのお母さん…


「さ、優奈。中入りましょ!」


「うん。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る