第4話 変わった子
叶愛side
今日も3回告られちゃった。
俺はイケメンだしモテるのも当たり前。
そろそろ帰るか。
階段をあがるところで教科書を沢山持った女の子が居た。
あの子…確か…あ〜七瀬優奈か。
株あげるために手伝ってあげよっかな
あの子可愛いし。
「あれっ?優奈ちゃんだ!」
にこにこ笑顔で言ったし惚れちゃったかな?
「すみません、誰ですか?」
俺の事知らないんだこの子。
「俺の事知らない?」
「知りません。」
まだ俺の事知らない子いたんだ。びっくり。
「えー!」と言ってじーっと見る
確かに可愛い。
すると優奈ちゃんが
なんですか?とでも言いたげな顔で見つめてくる。
「俺の名前、成瀬叶愛」
面白そうだから名前教えとこう。
「聞いた事あるかもですね。」
「まぁそうだろうね、俺、人気者だし。」
そう言っても興味無さそうな顔だった。
優奈ちゃんの表情が硬くなる。
あ、忘れてた。教科書持ってるんだった。
「あっ!ごめんごめん、それ持つよ。」
「いいですよ。このまま理科室持ってくだけなので。」
この量、結構重いだろ。流石に持つよ。
「その量1人で理科室…いや!俺が持ってく。ほら、貸して?」
首を傾げてそう言っても
「本当に大丈夫ですから!」
変わった子。
「いや!持つ!…っと」
俺みたいなイケメンと会ったら女って
媚び売るしかしなかったけどこの子は…
…でも今だけだよな。
教科書を奪い取って4階に向かって歩き出す
俺の歩幅について来れないのか、小走りで
俺の横を走る優奈ちゃん。
小動物みたい。
「先輩!返してください!」
「え〜…やだ。」
笑顔でそう言うけどこの子は引き下がらないみたいで
「でも。。。」
「こういう時は素直に甘えとけばいーの!」
そう言うとやっと静かになった。
それから色々話して理科室まで行ってから
分かった事。この子は今までの女の子達とは
違うって事。
途中からかったら拗ねちゃうし、妹みたいで可愛かった。
「先輩…」
何か聞いてきたけど…先輩か〜
「叶愛」
どうしてもそう呼ばせる。
名前呼びの方が友達みたいで良いしね。
「?…せんぱ」
「叶愛だよ?」
やっとわかったみたいで
「叶愛先輩…」
って呼んでくれた。
うん。名前の方がいい。
勿論それは妹に呼ばれて嬉しいって感じ。
「それでいい。」
「叶愛先輩はモテるんですか?」
そう聞かれて足を止める。
「なになに、惚れちゃった?」
そう言ってクスッと笑ってみせると
「なわけないでしょ!私もう恋はしないって決めたんですから!」
「へ〜?」
ほっとした気がするのは気のせい。多分。
その後も話しながら歩いてゆなちゃんの教室についた。
「教室まで送らせちゃって…ごめんなさい」
頭を下げて謝ってる優奈ちゃんが可愛くて
「?俺が好きでやった事だから。」
その後に気にしないで?って笑った。
女の子に素で笑ったのは久しぶりかもしれない。
教室の時計を見ると時刻5時半。
今残ってるのは部活の人だけだろう。
外も暗いし送っていくからっていう意味で
「準備しといてね。俺も教室行って鞄取ってくるから。」
って言って優奈ちゃんの返事も聞く前に走って教室まで向かう。
教室に入るとやっぱり誰もいなかった。
急いで鞄を持って階段を降りる。
いつもの俺なら女の子との約束があってものんびりしてるのに今はゆなちゃんに会いたいって思ってる俺が居た。
教室まで走ると優奈ちゃんはもうドアの前に立ってた。待たせちゃったかな…と思って
「優奈ちゃん早い!ごめん遅くなっちゃって…行こっか」
そう言うと
「全然待ってませんよ。行きますか。」
ふふっと笑う彼女を見て
不覚にもドキッとした。
そんなはずない。俺がときめくなんて。
あるはずない。
ゆなちゃんを見つめたまま固まっていると
「?大丈夫ですか、?」
と言われて気を取り戻す。
「あ〜ごめんごめん。行こっか。」
「はい。」
そこから靴を履き替えて2人で一緒に歩く。
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