第2話 イケメンな先輩

「あれ、、寝てた…」

スマホで時間を確認すると4時だった。

起き上がって鏡を見る。

「うぅ少し腫れてる…でもこれくらいならすぐ治るかな…」


「昨日お風呂入ってないんだった、、」



うー最悪…


お風呂行くかぁ…


久しぶりに湯船に浸かったな〜。

あ〜学校行きたくない…

友達に会いたいって気持ちはある…けど。

悠には会いたくない。というよりどんな顔して会えばいいんだろう。きっと今会ったら

つらいだけ。

悠はもう私の事なんてどうでもいいのかな。


んー!悠の事はもう忘れるっ!


ぱちぱちと自分の頬を叩く。


「ふ〜」

お風呂からあがって学校の準備をする。


肩まで伸ばした髪をくしで整える。


よしっ!いつもの私!


「優奈〜ご飯〜!」


「はーい!」


お父さんは私が小さい頃に事故でなくなって

それからお母さんが女手一つでここまで私を育ててくれた。本当に感謝してもしきれない


下に降りて朝ごはんを食べる。


「昨日ご飯も食べずに部屋行っちゃって…

どうしたの?何かあった?」


「何も無いよ?昨日は友達とご飯食べてきたからご飯食べなかったの。LINEすれば良かったね、ごめん」

笑顔を浮かべて言った。私、ちゃんと笑えてるかな。


「そうだったの?もー心配したんだよ?」

むっとした表情でそういうお母さんは

娘の私から見ても可愛いと思う。

栗色の髪にくりくりの目。薄い唇、

白い肌。

なのに私はぜんっぜん似てないし!

似たのは髪の色だけ…身長は154のチビ…


「どうしたの?ぼーっとしちゃって」


「んーん何でもないよ!」


お母さん可愛いよね、なんて恥ずかしくて言えない!


「そろそろ家出なきゃ。ご馳走様。行ってきます!」


「もういいのー?」


「うん!行ってきます!」


そう言って家を出る。

うぅ…寒い…春なのに…

今年で高校2年生になった。

1週間前に入学式が終わって今は…一学期か


色々考えながら歩いてたら学校についた。

いつもより学校につくのが早く感じる…

やだなぁ…悠は隣のクラスだから移動教室とかですれ違ったりするだろう。


大丈夫…!よしっ


昇降口で靴を履き替えクラスへ向かう。


 ̄ガラガラ ̄


「おはよ〜」

笑顔を浮かべて教室に入る


「おはよ!優奈!」

そう言って抱きついて来るのは親友の結衣。

「おはよ」


「あれっ?元気ない?」


「元気だよ〜結衣が元気すぎるだけ」


「んーん、優奈今日無理して笑ってる感凄いよ?どうした?親友のあたしに言ってみて」


「…実はね、悠と別れちゃってさ」


「……えー!!」


「な、なんで!」

顔をぐいっと近ずけて聞いてくる。


「えっとね、…」

昨日の悠との話全てを結衣に話した。

「まじかぁ…好きじゃなくなったって…」

んーと言って考える素振りをする結衣。


「本当だよ。」


「まぁ、次だよ次!優奈なら行ける!」


「私もう恋はいいかな」

だって、悠より好きになる人きっと見つからないから。


「…そっか。」


何か言いたげな顔で呟く結衣に申し訳なくなった。きっと結衣は私を元気付けようとしてくれてるから。


「大丈夫だって!結衣が元気じゃないとか調子狂うじゃん!」

あははと笑ってみせると結衣が顔を上げて


「ふふっ。そうだよね!私は元気が1番!」

へへと笑う結衣は凄く可愛い。

実際、結衣は可愛いって人気だしね。


そんなこんなで6時間目まで終わった。


結衣は塾があるからごめん!と言って先に帰った。

結衣は凄いなぁ…塾か〜

私も帰ろ。

そう思って教室を出ようとしたら


「七瀬、これ理科室まで持っていってくれ」


これ、とは教科書だ。

こんなにっ…


「はい…」

しぶしぶ頷く。


「助かるよ。俺これから会議だから。」

にっこり笑顔を浮かべて会議に行ってしまった。


うぅ最悪。そう思いながら教科書を持つ。

重い…腕がちぎれちゃうよ…

理科室は4階だから

ここから2階あがらなきゃいけない。

重すぎるって…


そう思いながら歩いてると


「あれ?優奈ちゃんだ!」

誰だこの人。

ふわふわしたミルクティー色の髪に

透き通るような白肌。

綺麗な茶色の瞳。

…かなりのイケメン


「すみません、誰ですか?」


「俺の事知らない?」


驚いた顔で言ってくる先輩、かな

靴が緑だから先輩なはず。


「知りません。」


え〜!と珍しい物を見るようにじろじろと

見てくる…先輩を知らないだけで…


「俺の名前、なるせとあ」


「聞いた事あるかもですね」

結衣から聞いた気が…


「まぁそうだろうね。俺、人気者だし」

へ〜…それより重い


「あっごめんごめん!それ持つよ。」


「いいですよこのまま理科室持ってくだけなので。」


とは言ってもかなりキツい…


「その量1人で理科室…いや!俺が持ってく。ほら、貸して?」

首を傾げてそう言ってくれるけど…

先輩に持たせるのは申し訳ない。


「本当大丈夫ですから。」


引き下がってください…


「いや!持つ!…っと」


教科書を奪い取られた…


「先輩!返してください!」


「え〜…やだ」


先輩は歩きながらそういうけど、、

私が嫌なんですよ…


「でも。。。」


「こういう時は素直に甘えとけばいーの!」


そう言われたので甘える事にした。


「すみません。ありがとうございます」


というか…なんで先輩私の名前…


「先輩?」


「ん?」


「なんで私の名前知ってたんですか?」


「え?君も結構人気だよ?ゆなちゃん?」


いやいやいやぜんっぜん人気じゃないです…


「からかってますか?それともブスって人気なんですかね。」


「からかってもないし、可愛いって人気」


ふふっと言って笑う先輩はやっぱりイケメン



「ないないない!それ結衣の間違いですよ!結衣の方が可愛いし。」


「俺が優奈ちゃんの事知ってた理由、もう一個教えてあげようか?」


先輩がニヤッと笑ってそう言う。


「知りたい、です」


「それはね、」


ごくりと唾を飲む。

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