第一楽章

第一話 スクランブル

ミーンミンミンミー…


ミンミンゼミの鳴き声が鳴り響く。鳴き声とは違うらしいとどこかで聞いたことはあるが、もう忘れた。トリビアなんてすぐ忘れてなんぼよ。五年に一回ぐらいテレビ番組で出てきて「あー…ね。」ってやるのしてみたいですわ。


ガヤガヤガヤガヤ…


スクランブルとはよく言ったもんだ。一体全体どうしてこんなに人が集まるのか…このガヤガヤは何時になっても慣れない。まぁ、ここに交通網が集中している限りは来たく無くても来なきゃいけないんだろうけど。


ザワザワザワ…


ふと見ると、人だかり。ニュースとか、pipitter(SNSの一つ。鳥が囀るように人の文章が打ち込まれるのが由来。)とか見てた限り最近演技力がずば抜けてる人気女優さんがここら近辺をロケでうろついてるらしい。なんと私と同じ年。それでもって年収はサラリーマンを軽く超えているとか。えぐ。


「ふわ〜ぁ…」


そんな天上人に対してこの私。至ってフツーの高校生。セーラー服に身を包んだJKと言うやつだ。あんな超絶ウルトラ胸デカハイパー美人が何だ!こっちだって両親から賜った素晴らしいこの溢れんばかりの美貌がある!

このサラッとした肩どころか腰辺りまで届く長い黒髪!

ぱっちりちょいタレ気味な、日本人にしては結構珍しい紅い瞳!

毎日ローラーして整えた、シャープで引き締まった輪郭!

日に当たっていない、庇護欲をそそられる白い肌!

…スタイル?…殺すよ?


ま、まぁ…自分で言うのも難だけど、こんな感じの顔だから私は可愛いと思う。自分でもブサイクだとは思わないし(思えるわけ無いだろ!こんな属性マシマシの美少女顔を!)、家族もよく「かわいいっ!」って言ってくれるし。その後ナデナデされるまでがワンセットだし。

ほれ。私をチラチラ見ている人もいくらかいるじゃないか。どうだ。やはり女は体だけではないのだよ!私にとっては溢れかえる男どもを落とすには至宝の美貌で十分なのだ!ふんす。


って、負け惜しみを言ってみても…まぁ意味はないわけで。あの女優さんのようにキラキラはできない。絶対ね。スペックがちげーぜ。

そんなことを頭の中で思いながら、速いこと人混みを離れようと足を早める。

私にあんなにカリスマ力があるとも思えんし、なおかつ私は一人のほうが好きだ。一人でゲームとかマンガとかVtuberとかにどっぷり浸かって、ブルーライトを浴びてる方が好きだ。

陰キャ?オタク?呼びたきゃ呼びなってんだ。別に気にしとらんし。


『のうのう。さと。そんな自らを責めるものではない。心が闇的な『さむしんぐ』に乗っ取られてしまうぞい。』


あ…そういや、一人になるなんて実質無理なんだった…

というか、闇的なさむしんぐって…何?なろう系でも読んだ?


「…あの。急に来ないでくれますか?ちょっとビビりましたよ?」

『おお、すまんの。つい気になってしもうてな?』

「はぁ…またそうやって余計なおせっかいを…」

「ホッホッホ!年寄りの性ってもんじゃよ!」


…この得体のしれない爺さんは…毎日毎日こんな調子で…ウザい。

しかもこの爺さん、闇的な…ではなく霊的なさむしんぐだから暴力的手段にも精神的手段にも出れないから余計ウザい。


『ほう!また儂の知らぬ言葉が出てきおった!どれどれ、早く教えてたもれ!』

「…」

『あ、なろうというのはわからんが、さっきの闇的な言葉は『ぱそこん』で見させてもらったぞ。いやはやそれにしても…近頃の日の国は面白い考えを持ったやつばっかりじゃのう!輪廻転生という考えを物語に出すだけではなく、転生後に異形の姿となって、そこから人の形に…やはり人間の性は自らが人間であることを求めるのじゃなぁ…文字だけでは足りなんだからまんがも買ってしまったわい…』

「…」


バッチリなろうじゃねぇか!!!

っつーかそのせいか!マンガアプリでいっつもスライムが無双する本しか新巻おすすめに出てこないのは!勝手にいじんな!クソジジイ!いつの間に金使いやがって!

…って叫びそうになったけど我慢である。

こんな町中で大声とか公開処刑ものだ。ルイ16世並みに恥ずいことになるので。

あれ?ルイ16世ってなんだっけ…?やっべ、なんか歴史でやった気がするんだけど完全に忘れてますやん…


って何脱線してんだ…こーゆーの悪い癖よ?悟。だめなのよ?

はぁ…さっさと学校イコ。ちんたら歩いてたらすぐ何か言ってくるからなこのじーさんは。

それでは、いちについてぇ〜…用意…どn


ズォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!


「ッ!?」


コンクリートの地面から伝わってくるこの揺れ…まさか。


「また?」

『そのようじゃの…。全く。は血の気が多いのぅ…』

「あの…そんなこと言ってる場合ですか?」

『おや?この老いぼれにウザいと言いおったのにか?』

「はぁ…」


知ってたんかい!ってあー…勝手にでほしいんですけどねぇ…


『ほりゃ。なにをぽけっとしておる!さっさといかんかい!あ、ちなみに儂はいかんぞ?儂はウザいのじゃろう?』

「…後で紙で全巻おごりm…『そりゃ良かったゆくぞい!』…」


このじじい…

ま、いっか。さっさと終わらせよう。


《ARE YOU STEADY?》

「いきますか。」


______________________________________

ども。クールちゃんです。

現代ファンタジーを書いてみようと思っていいのが思いついたんで書いてます。

皆見てね!

ちょっとダークめ(?)です!

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