第108話 脳筋

炎の壁が消えるタイミングで突っ込むことにする。


獣王は構えてるだけで何もしていない。

炎の壁など何とも思っていなかったようだ。


ちからを溜めた状態で相手の懐に入った。

獣王は相変わらず何もしてこない。

これではまるで俺にわざと攻撃させているように思えた。


さぁ、懐に入ったぞ。

何処を殴る。

顔か?胸か?腹か?

一応女の子だぞ‥。

顔はやめておこう。


そうなると腹しかないな。


俺は覚悟を込めると渾身の一撃を腹におみまいする!


ドゴッ!

鈍い音が響く。


クソ!何て腹だ!

まるで鉄板みたいに固かった。

どうも殴った方の手が折れてしまったようだ。


それでも少しはダメージを与えたはず!


俺はダメージを確認する為、獣王の表情をみて驚愕する。


メッチャ笑顔じゃん!!


「う〜ん、中々いいパンチだったよ。ちょっとだけ痛かったかも。」


獣王が楽しそうに語ってくる。


それより『かも』ってなんだよ!

それって全くダメージがなかったってことだよね?


こうなったらヤケクソだ!


0距離からの‥


どうだ!手数で勝負だ!


「ゴブリンパンチ!」

「ゴブリンパンチ!」

「ゴブリンパンチ!」

「ゴブリンパンチ!」

「ゴブリンパンチ!」


獣王の表情が曇る。


「全然駄目!

 拳に力が乗ってないというか‥

 パンチはこう撃つの!」


獣王が俺にパンチを打ち込んでくる。


軽く撃ったパンチが俺の腹にヒットするとボキボキッと音が響くのであった。

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