第105話 借りるよ

さぁ、準備は整った。


邪魔な魔王達はあの執事が抑えてくれるはず。


部下に買いに行かせた下着も着けたし、後は勇気を出すだけだ。


ヤマトの部屋の前で、今一度気合を入れなおす。


「よし!」


気合を十分に扉を開く。


息を殺して部屋に入るとヤマトの寝息が聞こえる。


静かにベッドに近づく。


さぁ、後はヤマトにキスをして起こすだけだ。


心臓の音がいつも以上に鮮明に聞こえる。


緊張しているのがわかった。


私のくちびるがヤマトの唇に触れようとすると、それは天井を破って現れる。


ガシャ!


何者かが天井を突き破ってベッドの近くに着地する。


背はあまり高くなく、白っぽい鎧をまとっていた。顔はまだ幼さを残していて、頭には獣のような耳がはえている。


見間違えるはずはない、コイツは獣王だ。


私と目が合うとニターと笑う。


「冥王、久しぶり!結婚したらしいな。」


顔は幼いが声もまだ子供の声だ。


何だろう、凄いイヤな予感がする‥。


「お前と魔王が選んだヤツなんだからコイツ強いんだろ?だから、コイツ借りるよ。あっ、返事は必要ない。聞く気ないから。」


この獣は何を言ってるの?

貸すわけないだろ!


ヤマトを掴もうとするが一本遅く、獣王が引っ張りあげるとお姫様抱っこをする。


「じゃあね。」


獣王がそういうと、突然煙が発生して視界が奪われる。


魔法で煙を吹っ飛ばすとそこには獣王とヤマトの姿はなかったのだった。

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