第72話 ギルド長の憂鬱6

 ギルド長の朝は自分の部屋でのんびりとお茶を飲むことから始まるのであった。


「あ〜、今日もいい天気だ。仕事も順調で朝のお茶がいつもより美味しく感じるよ。」


ギルド長がのんびりしているとバタバタと足音が聞こえてくるとノックもなく扉を開けてくる。


「ギルド長、大変です!」


受付嬢が息を切らせながら飛び込んできた。


「おいおい、少しは落ち着けよ。これでも一応はこのギルドの長だよ。いくら慌てているからってノックなしで入るのは失礼だろ?」


ギルド長が受付嬢を落ち着かせようと少し砕けた感じで話しかける。


「す、すみません!」


受付嬢も慌ていてノックを忘れた事に気がついて頭を下げる。


「まぁ、次からは気をつけてくれ。で、何をそんなに慌てていたんだ?」


「それがヤマトさんが例の屋敷の幽霊を退治したそうです。」


ヤマトってセラの旦那のアイツだよなぁ‥。


「良かったじゃないか?あそこは曰く付きの場所だったから。あっ、たしか近々S級の冒険者が挑戦しに来たいって言ってたような‥。まぁ、退治したならいいか。」


ギルド長は思ったより良い報告だったので安堵してお茶を口にはこんだ。


すると受付嬢が言葉を続けた。


「それが‥行方不明だった多数の冒険者の遺体を発見したそうです!」


ブッー!


ギルド長が口に含んでお茶を豪快に噴き出すのであった。

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