第71話 ダメだね

 冥王様と執事さんが消えるとメイドの幽霊が啜り泣き始める。


魔王様とネロさんがどうにかしろと目で合図を送ってくる。


気が乗らないが話しかける事にする。


「大丈夫ですか?」


無難な言葉を掛けてみる。


すると首だけをグルリと回してコチラを睨んでくる。


コワ!


「はぁ?これが大丈夫に見える?馬鹿なの?目腐ってるの??」


目から血の涙を流して抗議してくる。


若干馬鹿にされた事でムカついたが我慢する事にした。


「冥王様に見捨てられたのよ!もう生きてられない!!」


いや、あなた幽霊ですよね?


さて、この幽霊どうしようかな‥。

冒険者を何人も殺してるし‥このまま許すのも‥ただ利用された可能性もあるし‥。


そもそも旦那さんの浮気や横領の証拠を奥さんに渡して殺されたのは自業自得のような気がするし‥。


冒険者を殺したのは正当防衛かもしれないし‥。


「ちなみにこの屋敷にいた家族とメイド達を全員殺しています。もちろん子供も含んでますよ。」


いつの間に戻ってきた執事さんが背後から話しかけてきた。


「うん、ダメだね。執事さん、お願いします。」


執事さんは無言で頷くとメイドの幽霊を連れて消えてしまった。

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