第73話 ギルド長の憂鬱7

 地下の解体場兼買取り場の更に奥にある部屋に関係者が揃う。


ギルド長本人、受付嬢、例の冒険者のヤマト、ヤマトの妻だ。


「それで行方不明の冒険者は?」


俺が声をかけるとヤマトが目の前に8人を並べていく。


全員が黒い鎧を纏っているがカブトを外しているので顔が確認出来る。


「確かにコイツとコイツは屋敷に行って行方不明になったヤツだが‥。コイツは半年前に行方不明になったA級のルーカスじゃないか!」


オイオイ、行方不明が見つかって良かったがまさかA級が混じってるとは‥。


「あ〜、さすがに報告しないとマズイよな?」


隣のベテラン受付嬢に声を掛ける。


「マズイですね‥。たしか懸賞も出てたと思いますし‥。あ〜残業になりますね。」


ベテラン受付嬢のテンションがダダ下がりだ。


「それにしてもまるで生きてるみたいに綺麗だな?」


ヤマトに話を振ってみる。


すると何故かヤマトの妻が口を挟んできた。


「当たり前だ。生きた状態で冥王の眷属にされたからな。邪法だよ。」


「ん?俺の聞き間違いか?今、冥王って聞こえたが‥。」


「お主、耳が悪いのか?ワシは冥王と言ったが‥。」


冥王の名前を聞いてベテラン受付嬢とギルド長が顔を青くさせるのであった。

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