第62話 原因

 魔王様がメイドの幽霊を消滅させようとしたので、何とか説得して思いとどまらせる事が出来た。


一旦落ち着こうと屋敷の中の応接室で話す事になった。


「それで、どうして屋敷にいるの?」


俺を助けようとして止められた事で拗ねてしまった魔王様を膝枕してあげながら、話を進める事にした。


「原因は分からないのですが、気が付いたら幽霊になってて‥。何故か家に来る人間を敵視してしまうんです。」


原因がわからないとは。

幽霊になるぐらいだから何か未練があるはずだけど‥。


「気を失う直前のこと覚えてる?」


「私が仕えていた旦那様の浮気の証拠を奥様に渡した事がばれて、ついでに横領していた証拠も渡した事をお伝えしたら急に怒り出して‥。剣を振り回して追っかけて来たのでトイレまで逃げ込んだのですが‥。」


うん、それが原因だよね?

何が原因が分からないだよ!


「お主は主人を売ったのか?」


膝枕されながら、恐ろしく低い声で魔王様がメイドの幽霊に問いかける。


「はい。奥さんがいるのに私に手を出してきて‥。妊娠したら堕ろせって言ってきたのですよ。そんな男は売られても文句は言えないですよね?」


急にハードな話になってきたよ。

しかも彼女からは狂気を感じるような‥。


彼女に恐怖していると、突然アナウスが聞こえてくる。


「『あやつる』をラーニングしました。」

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