第61話 助けて

女性トイレにある個室に入るが、幽霊の姿は見えない。


まさか!この陶器で出来た便座の中なの?


恐る恐る蓋を開ける。


いない!


すぐにネロさんを見ると上を指差している。


指示通り天井を見ると、そこにはメイド姿の女性が張り付いていた。


「ださ!」


思わず本音がもれる。


メイドの幽霊さんは俺の一言にショックを受けていた。


よし、やり直そう!


一度個室から出て扉を閉める。


「そろそろいいかなぁ。開けるよ?」


一言声をかけてから扉を開ける。


「うわぁ!」


メイドの幽霊が襲いかかってきた!


頭や口から血を垂らして、さっきの天井にいた時とは違い生き生きとした表情で襲いかかってくる。


ちょっと面白くなってきたので悪ノリしてしまう。


「うわぁ!助けて!!」


俺は頭を抱えて丸くなってみる。


メイドの幽霊も俺の反応がいいのでさらに声を大きくして飛びかかってくる。


「帰れ!」


すると魔王様がメイドの幽霊の顔にアイアンクローをかます。


ギリギリと力を入れる。


「痛い!痛い!痛い!」


メイドの幽霊が悶え苦しんでいる。


「どうして私が触れるの?物理攻撃は効かないはずなのに!痛い痛い痛い!!」


ミシッ、ミシッの骨の鳴る音が聞こえてくる。


「そこの人、助けて下さい!」


俺はメイドの幽霊に助けを求められるのであった。


「私、必要なくないですか?」


ネロさんの突っ込みが虚しく響くのであった。

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