第3話

保健室に行くと保健の先生が現れた。痛みで喋れない私の代わりに彼は状況を説明してくれた。というか見てたのか。恥ずい。

手当が終わって矢田は

「もう大丈夫?」

と優しく言った。

「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

とやんわり伝えると矢田はニカッと笑って

「良かった」

と言った。良かったってなんだろ。と心の中で思った。


その件以来私と矢田は頻繁に話すようになった。昨日の出来事だったり、サッカーについてだったり、勉強についてだったり。とにかく色んなことを話した。幸せだった。しかし、彼は色んな女子と話す。すごく嫌だ。嫉妬でおかしくなりそうだった。彼の友人が私の好きな人を知った。その友人は彼にLINEで

「クラスの女子で誰と喋ってると楽しい?」

と聞いたらしい。矢田は

「美夏かな」

と答えたらしい。ちなみに美夏とは彼といつも喋っている女子のひとりだ。正直いって私より可愛いし、明るい。でも私ではないと知って悲しかった。



席替えで隣の人があまり好きではない人と隣になってしまった。先生には怒鳴る、友人に暴力は当たり前。暴れん坊将軍という言葉が似合う人だった。その人は頻繁に声をかけてきた。そのため、矢田と話す機会が減ってしまった。

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