第15話-5遅刻常習犯

今日、友人が病院の屋上から身を投げた。




その背中を追って、俺も同じ場所から身を投げた。届くようにと、必死に手を伸ばした。


生涯一緒だった友人は俺の親友だった。




彼は冷たく硬いコンクリートの地面に落ちていった。それを追って、俺も落ちていった。







ゆ っ く り




ゆ っ く り




おちていった。













地面に着く瞬間、俺は彼に手が届いただろうか。


『届いたよ。

ちゃんと君の手は、ボクに届いたよ』


最期の最後に、俺は遅刻せずに間に合っただろうか。

記憶をなくしても待ち続けてくれた君に、追い付けただろうか。


今度こそ、大切なものを手放さないで済んだだろうか。


『よく頑張ったね』







これで俺のとっておきの話は終わりだ。







「なあ、友人A! 俺、間に合ってやったぜ!」




思い出したか?

お前が。

俺の親友なんだ。







一瞬だけ遅れて着いた俺の手は、しっかりお前と繋がっていた。

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