2070年12月25日
「どうしたん?今日はやけに元気がないじゃん」
ノアは言った。
ぼくは次世代シムを立ち上げていた。なんだかんだ、これが日課になっていた。心のどこかで、寂しさを感じていたのかもしれない。
「大好きなオンラインゲームが終わりそうなんだ」
ぼくは言った。
「また新しいゲームはじめたらいいんじゃない?」
「でも、このゲームで出会った友達ともう会えなくなっちゃうと思うと……」
「なんで?」
「だって、オンラインでつながってるわけで、ぼくは宮崎に住んでるけど、他の人は東京で暮らしてるし」
「距離じゃないっしょ」
「え?」
「本物のダチなら、距離なんて関係ないから」
ノアがあまりに真顔でそう言うので、面食らう。こんなまともなことを言う子だったなんて、思わなかった。
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