第8話 午後 ウーパールーパーを添えて
1時限目【睡眠】2時限目【睡眠】
3時限目【睡眠】4時限目【睡眠】
で今、昼休み
……………………………………………………
【昼休み、俺はホンダと飯を食べる】
……………………………………………………
ホンダが、机の上で死んでいる俺の方をじっと見つめる。
「おい、突っ伏してないでなんか喋れよ。」
「…………無理」
「カレーパン食べる?」
「…………いらない」
眠すぎる。カレーパンは食べたく無い。気持ちだけもらっとくよ
「なあ、お前なんでそんな毎日寝不足なの?」
「…………別に…………」
「言ってみろって」
「………実は、女子とLINEしてた………」
「女子って……お母さんか?」
「ちがうわ…だけどもうソレでいいよ……」
「冗談だよ。誰?あ、もしかしてヤガミか?」
「ピィンプォーン!(正解)」
「正解音に抑揚つけんなカス」
そう、この寝不足はヤガミとのLINEでの会話のせいなのだ。今日はちゃんと寝よう、じゃ無いと死ぬ。
俺、寝不足解消したら結婚するんだ……
「だからあんな急に仲良くなってたのか」
机に突っ伏したままなんとか俺は首を縦に振る。
「で、盛り上がって夜遅くまでやり取りしちゃって寝不足と」
「…………」
「バカじゃねえの?」
ごめんな……俺もそう思う……
「ていうか、そんなのオマエが一番軽蔑しそうなヤツじゃん」
うん……追い込まないで……
「なんか期待してんのか?今すぐやめた方がいいぜ、マジでなんも起きないからwww。
お前、そろそろ色恋で汚染された知能指数を人間様レベルに戻しとけ、エロいイベントがそんな都合よく起きる訳ねえだろが。」
コイツ……さすがは男子高校生、全部お見通しかよ……(え、エロい事起きないの?マジ?)
「おいおい、まさかだけど下の名前で呼ばれただけで相手に気があるんじゃないか、とか思ってないよな?」
え……え……ソンナコトナイヨ、勘違いなんかしてる訳ないだろ!友達だし!(……エロい事ないってマジ?)
オマエの言う事に興味はないが詳しく聴かせてもらおうか。(エロい事なry)
「あのな、恋愛に関しての男子の知能の低さとか、全部女子はわかってんだぞ、わかった上で遊ばれてんだよオマエ」
「…………そうなの?」
俺は顔を上げる。
「おう、男子落とすのなんか簡単なんだよ、○○く〜ん❤︎(抑揚)とか、下の名前で呼ぶ、とかすりゃ大体いけるだろ?」
「まさか……男子だってそこまで頭悪い事はないだろ……」
ホンダはハアっとため息をつく。
「おいおい、どこまでバカになってんだよ。想像してみろ。学年で一番カワイイ✖︎✖︎さんがお前を呼んでいます。『ソウタく〜ん❤︎』。オマエはどう感じる?」
「そそる」
「サイテーな回答だな。けどまぁそういう事だよ」
絶望。4時までLINEして得られたものとは一体……
(友情手に入れたろって?知るか、友情とかクソどうでもいいんだよ。エロ>>>>>友情。コレは明白)
「……そうなんスか、ホンダ先生……」
「そうだよ、当たり前じゃん」
「………………」ガクッ
「落ち込むなよ、はずかしがんな、そんな勘違いは結構ある事だからさ」
ホンダ……こんなバカな俺でも励ましてくれんのか……ありがとう!いい奴だな……!
「ホンダ、ありが……!!!」
礼を言おうとして顔を上げた直後。ホンダの顔を見て俺は硬直する。
ホンダはしっかりニヤついていた。
「性欲お猿さんwww、げんきだせよwww。」
コイツ………………
………………………………………………
【放課後、今日も学園祭の劇に向けた準備がある】
………………………………………………
放課後の学園祭準備。
本来ならば行くつもりは全くなかったのだが、昨日のヤガミとのLINEのやり取りの中で今日だけは参加する事を約束させられたのだ。
おそらくもう明日は参加しないだろう。
「……………………」
小道具係の俺は黙ってペンキを塗っていく。
ホンダはサボっているため、教室にはいない。
カナもいない。
俺とカナとホンダの3人で放課後の準備をサボる事にしたのだが、流石に家に帰るのはマズいという事で図書室に3人集まってサボろうという話になっていた。
なので2人とも今は図書室にいるはずだ。
その2人がいないとなると、俺は本当に喋る人がいなくなるのだ。
「………………」ペンキヌリ-
悲しいなぁー泣、俺も図書室行きたい。
「おーい、セキグチ……じゃなかった、ソウタ!」
知り合いが誰もいないはずの教室で声をかけられた。
「どう?はかどってる?」
そうだすっかり忘れていたがもう1人だけ知り合いがいたんだった、ヤガミ(ハルカ)だ。
「まあまあだよ、ちょっと遅れ気味だけど……」
「そうなの、じゃあ手伝うよ。」
え?マジで手伝ってくれるの?やったー!喋り相手できたぁぁー⭐︎
「ソウタってさあ、休日とか何してんの?」
「うーん、なんだろ。……特に何もやってないかも……」
「えー!?無駄遣いしてるねえ」
「うん……あ、けど時々映画見たりするかな」
そうだ俺の唯一とも言える趣味『映画鑑賞』。
なんでコレが趣味になったのかというとソレにはとてもしょーもない背景がある。
中学時代の俺(映画鑑賞が趣味ってなんかカッコよくね?)←コレ
う、うわああー、中学の俺イタイ!(発作)
だけどまさか本当に映画鑑賞にハマる事になるとはその時は思っていなかった。
「へー、どんな映画見るの?」
「うーん、最近見たのだと『セブン』」
「え!?見たのソレ、実は私もソレ好きなんだよ!」
「え!?マジ。」
共感されて嬉しい気持ちと、コイツ、エグい映画見てんなという気持ちがせめぎ合う。
コイツ、えぐいの見てんな…(若干勝った)
(*『セブン』映画。分類はサイコサスペンスホラー、当然のようにグロい描写アリ)
けどそんな映画好きなんだな、趣味合うのかも。
「じゃあさ『羊たちの沈黙』とか見た?」
「見た見た!ソウタ(セキグチ)も見てたんだ!」
マジ?羊たちの沈黙も見てんの?すごいな。いよいよ本当に趣味合うじゃん!
「私さー、『あのシーン』好きなんだよねー」
「『あのシーン』いいよねー、なんていうか『あのシーン』があるからこそ物語のダークさが増してるよね」
「うん、わかってんじゃん!『あのシーン』の良さわかるとかソウタも通だね!」
話が盛り上がってきた。『あのシーン』好きなんだなぁ、好きなことなら何時間でも話せるのって男女関係ないんだな
「でさでさー」
「あー!わかる!」
フフフ、たっのしー!映画について語り合うのが、こんなに楽しいなんて!
だが楽しい時間は長くは続かないもので
さっきからこっちの方を見つめていたクラスの男子から声がかかる。
「あのさー、セキグチくんw」
「……なに?」
この頭ワックステカテカ野郎!止めんな俺らの映画談義を!ウーパールーパーみたいな顔しやがってよー!
「ちょっと段ボール捨ててきてくんない?」
「は?」
その男が手に持っていたのは段ボール。当然のように俺に渡してくる。
……なんだよその、もちろん行くよな?って顔は
「捨ててきてくんねーかなwww?」
「……わかったよ」
「あれ?ソウタ行っちゃうの?」
ヤガミが俺に声をかける。
だが!その質問に答えたのは……俺ではなかった。その質問には代わりにウーパールーパーが答える。
「そー、セキグチくんは段ボール捨てに行かないといけないんだってさ」
はぁ?てめえがオレに押しつけたんだろーが?
……まさかコイツ、ヤガミの事好きなのか?さっきからこっちの方ジロジロ見つめてたのはそういう事?
ニヤニヤしながらウーパーはヤガミに話しかける。
「ヤガミさんは何やってんの?」
「え?私はちょっと小道具手伝ってたんだよ」
「へーじゃあ俺も手伝っていい?」
「いいけど……」
確定だな、このウーパー野郎ヤガミの事狙ってる。
まあ正直全然不思議じゃない、ヤガミはカワイイ顔しているし明るくて男子とも仲がいいしで惚れる理由満載なんだろう。
だけど映画談義中断させて、俺つまみ出すとかしていいのかよ?なんか悔しい。
ウーパー野郎はヤガミに話しかけ続ける。
「なあなあ、帰り道スタバ寄んない?」
は?ウーパールーパーがスタバ行ってどーすんだ、両生類だろ?湿ったトイレ周りくらいしか行くべき所ないだろ?
「え、えー、ちょっとそれは……」
ヤガミ(ハルカ←コレ重要)も困っているオイ、てめえ、ヤガミから手を離せよ。困ってんだろボケが、ヤガミの顔見て見ろ。
ウーパーはヤガミとの距離をどんどん詰めていく。
女の敵"ウーパー"だな……あとコイツ普通に常識無さすぎないか?頭ワックスで固める前にもっとする事あるだろ。
俺は少し考えて一つの素晴らしい結論に辿り着いた。
もういっか、どうせこれ以上クラスメイトと仲良くなることもないだろうし
俺はウーパーの肩をポンポンと叩く
「"ウーパー君"、"ウーパー君"」
「ああん?まだ行ってなかったのかよ?」
ウーパーは嫌そうな顔で俺を見る。
ヤガミとの楽しいお喋り邪魔されて不機嫌でちゅねー、ダイジョーブでちゅかー?高血圧は寿命縮めまちゅよー(ᵔᴥᵔ)
「何なんか用?用があるなら早く言ってくれる?」
ウーパーはイライラしている。ああ、俺はオマエに用があるんだよ。
俺はウーパーの耳元で囁いた。
「おイタな行動してんじゃねーよカス野郎。下半身に脳みそついてんのか? 性欲おさるさんwww」
唖然とするウーパーの手をヤガミの肩から払い除ける。もう2度と触れんなクソ童貞。
段ボールを掴み、俺は教室を出て行く。
両生類が人間様に舐めた態度とんなよ
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