第2話

しばらく暑い中を歩いた。


時間はわからないがもう1回水を飲んでもいいだろうか。

今の所、異常はないし。

というわけで今度は3口だけ飲んでみた。

今度も異常は起きないでほしい。


さて、歩きながら魔法らしき水の塊について調べていこうか。


動かすことについては割と自由だ。

マウスカーソルみたいに素早く動く。

距離は…100mぐらいか?

気になるのは勢いが落ちない事で、操れる範囲から出ると普通に勢いが落ちていく。

範囲内でも操作権?を放棄すればその時点から自然に落ちていった。


形も自由に変えられるが1つ問題が見つかった。


丸や三角などに変えてみた後、文字に変えようとしたがなんとなく「日本」と書こうとするとできなかった。

そこで「体」と書こうとすると成功した。

恐らく複数の魔法を同時には使えないようだ。


俺だけそうなのか、他の魔法使いもそうなのか。

他の魔法使いが居るかもわからないが。


1文字なら部首や「、」などが離れていても1つとして扱われるようだ。

これは俺の認識次第なんだろうか。

魔法が使えるだけでも有り難いが、出来る事と出来ない事をなるべく詳しく調べておく必要があるな。

ちなみに、火や風を起こしたり土の壁を出そうとしたり、砂を操ろうとしたが…出来なかったので多分水の魔法しか使えないと思う。


水に戻るか。


形や数は一先ずここまでにして温度はどうだろうか。

これについては簡単にわかった。

上は沸騰するまで上がるし下は凍るまで下がった。


ここで気付いたが、水は凍った状態でもそのまま動かせた。

…これはいけるのか?

俺は足を止めて氷を水に戻して平たくし、また氷に変化させる。

長方形の板になったそれの上に手を載せて少しずつ体重を掛けてみた。

ほぼ全体重を掛けても浮いたままだったので意を決して板の上に座るように乗ってみた。


「おお、マジか」


乗れてしまった。

冷たさは感じるような感じないような変な感じだ。

これはあれか、火を操るキャラが自分の火で火傷しないようなものかな?

とりあえず乗ったまま氷の板を動かしてみたが前後左右、そして上下にも動かせた。


俺はそのまま進みつつ、少しずつ高度上げていった。

そして高度10mぐらいで一旦地面に下りた。

落下する危険を考えて形を変えるためだ。

箱、というか升の形で出現させる。


試してみると水を出してから氷にしなくても最初から氷で出せたので、それに乗ってまた上昇していく。

升から落ちるのも怖いが、動かしている魔力が尽きる可能性もあるな。

動かすのに魔力を消費し続けていればだが。


どのぐらい上昇したかはわからないが、進んでいた方向に緑があるのが見えた。

逆方向は砂だけだ、選んだ方向は良かったらしい。


多少の方向修正をして地上3mほどまで下りてから再び進む。

自転車ぐらいの速さならいきなり氷の升が消えても大丈夫かな、下は砂だし。


他の方向に比べれば端に近いってだけで、砂漠からの脱出にはまだまだ遠いので速度を上げたいところだが…どうしようか悩みつつ俺は進んだ。

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