第3話

どれぐらい進んだだろうか。

座り心地は良くないが跳ねたりしないので割と快適だ。


喉が渇いたので一旦地上に降りる。


大丈夫だとは思うが他の魔法を使うと消えるかもしれないので氷の升から降り、乗っていた氷の升の操作権を放棄して新たに出した水を飲む。


氷の升は無事残っていたので、休憩中に日傘代わりとして浮かせるために操作しようとしたができなかった。

一度操作権を放棄したら新しく作らなければいけないのかと思ったが、触ったらまた操作することはできた。

直接触れば操作権を戻せるのは解ったが間接的にはどうかと試したところ、新たに出した水を接触させたら操作できた。


また1つ、この魔法?についての理解が深まったな。





何度か水分補給をしつつ進んでいたが、また水分補給に降りたところ…砂地が震動した。


急いで氷の升で空に逃げて下を見ると何かが出てきた。

砂煙で見えにくかったのでじっと見ていると、少しずつその姿が見えてきた。

巨大なミミズのようなやつだ。


よう、というように俺が知ってるミミズそのままじゃなかった。

頭?の方に穴が開いていて内側に足つぼマッサージのマットみたいな突起が沢山ある。

マッサージ用にしては鋭いが。

それなりの高度を取ってるのでおおよそだが、直径10m以上はあるだろう。

体長は…地上に出てる分だけで50mはありそうだが、全体はどうだろうな。


恐らく、奴は俺が地面に降りた時の振動か何かを察知して出てきたんじゃないだろうか。


何処からだ?


休憩で2、3度降りた場所はそれなりの間隔があるはずだ。

たまたま今降りた場所の近くにいたか、察知できる範囲が降りた間隔より広いのか。


こんなに近くに現れたということは、奴は俺を獲物として認識してるのだろう。

俺は人が居そうな方へ向かっている以上、追ってこられると非常にまずい。

簡単に倒せる人が居ればいいが、居なかった場合は大きな被害が出るかも知れない。


今の所、俺は帰る方法を探すために動いている。

だが、奴によって発生した被害の原因が俺だと思われたらそれは難航するかも知れない。


少し移動してみると奴は追ってきた。

追ってくるだけで何もしないのはこちらに手を出す方法が無いからだろうか。

止まって様子を見る。

奴も止まってこっちを見ている…目は確認できないが。


地中から追ってきたのだから視覚を使って追ってきたわけではないだろう。

匂いや歩行時の振動だって休憩で地上に降りたのは僅かな時間だったはず。

それで俺をどう察知して来たのかわからない以上、どうやって追ってくるかも不明だ。

空を高速で移動しても追跡が可能かもしれない。


奴の狙いが俺だとバレないかもしれないし、そもそも砂漠の外までは追ってこないかもしれない。


バレたとしても、相手があのミミズなら仕方ないと赦されるかもしれない。


んー…よし決めた、逃げよう。







やるだけやってからな。

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