Chapter5 【魔術補足】 放出法

《スーーーーーーーッ》


「ギガンティック・バーニング・デストロイヤー!!!!!!」


《ドドドーン!》


「・・・。

 どう?」


「どうもなにも。

 ただの、バーストだけど」


「やっぱ、そうですか」


「ギガンティック・バーニング・デストロイヤー。

 ギガンティック・バーニング・デストロイヤーー。

 ギガンティック・バーニング・デストロイヤーーーー。」


「恥ずかしいから、やめて!」


「そもそも。

 なにがやりたかったの?」


「なんかこう、この空間全体が炎に包まれて・・・

 『混沌が!超カオス!』みたいになって、

 《ドーン》

 ・・・みたいにオーバーにイメージしたら、

 すごい魔法が発動できるんじゃないかなって思って」


「できてない。

 バーストは『純術』だから、放出方法的にもノーマルだし」


「純術?」


「『純術』というのは、その属性で一番単純で、基礎となる魔術のこと。

 風術ならウインド、雷術ならスパーク。

 単純に魔力を収束して放出しただけなら、大抵これらの魔術が発動される。

 ただこれは人によって違う魔術になることもあるんだけど。

 過去の統計で使用者が最も多い術を純術として定義している、そうな。

 最初に純術を覚えた後は、放出法を変えてみることで、性質の違う魔術を習得できる」


「放出法が異なる・・・」


「それじゃあ。

 ここで放出法についてまとめて教えておこうかな」


「先生、魔術の本忘れてきました!」


「持ってきてる」


「なんでだよ!

 私のかばん、勝手にあさっただろ!!」


「いっぱい列挙していくからどんどんメモして」


「うーっす」


「まずは『ブレッド』

 魔力球を作り、それをそのまま相手に向け飛ばし、ぶつける。

 ぶつかったときに炸裂するものと、しないものがある。

 バーストやファイアーブレッドなど、他にも多くの魔術がこれに属す。

 バーストが炸裂するほう。

 だから炸裂する場合をバーストブレッドと呼んだりする」


「『ブレッドー』、っと」


「次は『シュート』。

 球ではなく細長い楕円や、棒状に収束して、相手に向かって打ち出す。

 レイ系の魔術は、この放出法が多い。

 弓使いの人は、この放出法が得意なことが多い。

 ちなみに、少し違うけど、『バスター』と『ランス』ってのも『シュート』の仲間」


「うんうん」


「『スフィア』。

 術使用者の遠方で収束を行い、その点を中心として魔力を開放する。

 術者から離れたところに魔力を集める。

 これ、案外、難しい」


「メモメモ」


「『スプレッド』。

 収束した魔力を前方の広範囲に拡散させる。

 攻撃範囲は広範囲だけど、その分威力は低くなる。

 光術のレイスプレッドなどが有名。

 さらに広範囲になると『ミスト』と呼ばれたりする。

 これは、防衛用の魔術で、よく使われる」


「メモメモ」


「『スイープ』。

 術者前方扇形の攻撃範囲を持つ、眼前の対象を薙ぎ払う攻撃。

 近距離に敵が複数存在するときにも有用。

 炎術のバーストスイープ、雷術のスパークスイープなどが有名」


「かきかき」


「『スラッシュ』。

 魔力の刃を作り攻撃する。

 風系と魔導術系に多い」


「メモメモ」


「『ストライク』。

 これは定義が少し曖昧だけど、魔力を相手の頭の上から叩きつけるような魔術が該当する。

 相手の頭上で魔力を集めて、そこから下方に放出するような魔術。

 雷術のサンダーが、まさにこれに該当する」


「メモメモ」


「放出法は他にもあるけど、ざっと、ではこんな感じ。

 魔術の名前には、これらの放出法の名前が後ろにつくことが多いの」


「デストロイヤー、って放出法はなかったね」


「ばーか★」


「でも、こんないっぱい覚えないとダメなのかな?」


「いろいろな放出法が使えれば戦術に幅ができる。

 同じ術ばかり使ってたら、相手に対策を立てられてしまうから。

 特殊な放出法が使えれば、 それはエレナオリジナルの術と言っていいかもしれない。

 考案者エレナの魔術が後世まで相伝されるかも」


「おお!

 それは夢があるね!」


「『ギガンティック・バーニング・デストロイヤー』が習得できるように頑張ってね」


「お願いだから、その魔法はもう忘れてください」

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