第373話 ドラゴンへ

 俺はヒナタから大まかな事についての話をさせたというより、教えて貰った後、シェルターを出て人目のつかない所に行き、ドラゴンにもう一度変化出来るのかについて確認した


「なあヒナタ、今からドラゴンの姿に戻る事は出来るか?」


「はい。問題ありませんが、宜しいのですか?ただ、服を着たままですと破れてしまいますがどうしましょうか?」


 ヒナタにドラゴンの姿になって貰う事になったが、服を着たままだと服が破れると言うので、俺が背を向けているから、その間に服を脱ぐように指示をした。ヒナタは服を脱ぐと脱いだ服を俺に渡してきた。


「これよりドラゴンの姿に戻りますが、よろしかったでしょうか?」


 俺はふと気になった事がありヒナタの背中を見たのだが、背中には小さな翼の名残がある。しかし、付け根にはかさぶたが出来ていた


「さっきの傷がまだあるな。ちょっと待っていろ。すまないな。俺が切った傷がまだ残っていたんだな。先に直すからちょっと待っていろよ。痛くはないのか?」


「はい。これ位は大丈夫です。ただ、少しは痛いですが、我慢できる範囲です」


「悪かった。もっと早くに気が付くべきだった。今痛みを取ってやる」


 俺はヒナタの傷を治療していく」


「不思議ですわ。主様の力が感じられます。痛みが引いていきますわ」


「もう痛みはないか?治療は終わったはずだが」


「はい大丈夫でございます」


 ヒナタは返事をすると、おもむろに石を投げた。


「危のうございますから、今投げた石のところ位までお下がりください」


 言われるがままに俺達は10m位離れた。


「それでは参ります」


 そう言うと、どんどん体が大きくなり、遂にドラゴンの姿に変わっていったのだ。そこには見事な姿があった。威厳のある青いドラゴンが現れたのだ。


「さて、言われた通りにドラゴンの姿になりましたが、この後はいかが致しましょうか?」


「俺達を乗せて飛べるか?」


「はい。雑作のない事でございます。首を下げますので、どうぞお乗り下さい」


 俺を先頭に4人も続き、皆がヒナタの背中に乗ると、俺は行き先を告げた


「よしおヒナタの住処に向かおうか」


「畏まりましてございます。我が主よ。では参ります。しっかりと御掴まり下さいませ」


 そして一気に上空に飛び立ち、目的地に向かって飛んで行くが、トリシア達は必死に掴まっていた。全員一度は俺の飛行スキルで空に連れて行ってあげてはいるのだが、やはりドラゴンの背中は初めてだと言うのもあり、かなり怖かったらしい。失禁こそしなかったが、4人共終始目を瞑っていた。まるで予想よりきついジェットコースターに乗ってしまい、最初の加速で後悔した者のようにだ。


 飛ぶ事約10分すると小さな山が見えてきて、ヒナタはその山の中腹にある洞窟の入口に降りていくのであった。

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