第371話 人化
俺の手からドラゴンに対して何かが流れ、やがて胸元辺りに隷属紋が刻まれた。俺はドラゴン相手でも無事に隷属契約が成功したので安堵した。取り敢えず奴隷扱いでスタートだ。
そして俺は屈服させたドラゴンに尋ねた。
「見ての通りお前は俺の奴隷になった。言っておくが俺の方が上位種族だからな。お前は小さくなったり、人の姿になれたりはしないのか?今の姿だと話しにくいからな」
「わ、私が、誇り高き古龍でありながら人の奴隷にとは恥なのじゃ。死なせておくれ。死ねないのは何故じゃ?」
先程から口が動いているので、舌を噛み切ろうとしたのだろう。
「まあ落ち着け。まず俺は上位の天使だ。つまりお前より上位種だ。それと自殺は禁じさせて貰っている。もう一度聞くが、小さくなったり、人化できないか?出来るなら今すぐ行え」
あう!とか聞こえたが、次の瞬間、目の前には裸の女がいた。控えめに言って美女だが、人間にしか見えない。つまり人化できたのだ。
「お前雌だったのか?」
「ぐう。屈辱ですじゃ。どうか死なせてくだされ!」
収納からマントを出して着させた。きょとんとしていたが、裸のままというわけには行かない。
そのまま町を出て、人目の付かない所でシェルターを出して古龍の女の手を引っ張り、皆でシェルターの中に入った
「まず俺の名はランスロットだ。お前の名は正式な名前でなくても良いが、人の姿をしている時に呼ぶのに違和感のない名前があればそれでも良い。お前とか貴様では不都合だからな。それと話をしようか」
「私はヒナタです。どうか殺してください。獣に我が躰を穢されてなるものか!」
「なあ、少し会話をしよう。それに自慢じゃないが、嫌がる女を手篭めにした事は一度もないぞ。俺達を助けて欲しいんだ。いずれは敵対行為のみを禁じはするが、解放するつもりだ。だからちゃんと話をしような」
「本当ですの?あれだけ強いのに助けを必要としているとは、何故でありましょう?確かに貴方様は強い。ですが、我らの族長様には適うまい。良いぞよ。知りたい事を聞くが良い」
「お前はあの町で何をしていた?生贄をお前に捧げさせているようだが、意味が分からない」
「おかしな事を聞くお方じゃ。月に一度生贄として、穢なき乙女たる生娘を差し出させているだけですじゃ」
「何の為にだ?お前ひょっとして・・・その、ひょっとしてだが、女人を愛でる性癖の持ち主なのか?そうなんだな?それとお前自身生娘だよな?」
「何を馬鹿な事を。そのような破廉恥な趣味はないのじゃ。我は我より強い者にしか靡かぬのじゃ。それ故、我の伴侶になる者と未だに出会えておらぬのじゃ」
「じゃあ何の為に生娘を・・・集めている?お前、確か彼女達にも生娘か聞いていたよな?」
「穢なき少女を守る為にじゃ!」
「意味が分からんな。まずはその娘達を家族の元に返してやりたいな」
「だ、駄目ですじゃ。我は彼女達を守っておりますのじゃ。彼女達を穢さないで欲しいのじゃ」
ヒナタは再び裸になった。
「どうか私を穢すだけにし、彼女達を穢すのはお止めくだされ。彼女達に手を出さないとおっしゃって頂けるのならば、この身を捧げますのじゃ」
「あのなぁ。愛してもいないのに女性を抱かないぞ。隷属契約の一種である奴隷契約は、主が命ずれば性的な奉仕すら強要できるんだ。だからお前を犯すか否かは俺次第だと言いたいが、心配するな。そんな事はしないさ。お互い好き合っていない状態では体を求めないぞ。何か事情が有りそうだな。うん。分かった。彼女達に手を出さないと、ここにいる4人に誓って約束してやる。だから他の質問に答えろ」
「はい。畏まりました。なんなりとおしゃってくだされ」
「俺達が他の町から来たと言うと、この町の者達から例外なく気狂い扱いされた。何故だ?因みに俺達は異世界からこちらの世界へ何かしらの罠により飛ばされてしまったんだ」
「異世界ですと!これは奇妙な。基本的に町と町の間は50kmは離れていて、その区間は我ら龍種が支配しておりますのじゃ。町から町への移動は我らが許可した者以外、見付け次第殺しておりますから、町の住人の反応は必然かと思うのじゃ」
そうやって問答が始まったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます