第370話 ドラゴン
取り急ぎ俺達は鐘の音がする方に向かった。咆哮も同じ方向から聞こえて来たので、向い出したのだ。
そうすると遠くから町に向かって何かが飛んで来ているのが見えた。
まだ剣は抜いていないが、すぐにでも剣を抜いて戦える準備だけはしていた。
言うまでもなく、トリシア達も戦いになる可能性を考え、いつでも動く事が可能なように準備していた。
流石は知り合った当時から、既に最有望視されていた若手のパーティーだけある。今も若い。
以前助けてと俺に泣きながら縋って来ていたレフトアイの泣いていた姿が懐かしく感じる位に、今の彼女達は自ら判断して颯爽と動いている。なた
ただ、襲ってきたら当然反撃をするが、町にとって敵なのか、味方なのか分からず、今はただ黙ってその飛翔体が町の入り口のすぐ手前に、着陸する様子を見ていた。そいつは高さ5m位で、青い色のドラゴンだった。
そう西洋風のドラゴンだ。何故ドラゴンが来るんだ?そんな事を思っていたのだが、そのドラゴンが喋り始めた。
「今日の生贄は4人か。全員生娘だろうな?それと何をしている?早く服を脱がぬか!それとそこの男、お前は何をしに来ている?もう用はないのであろう。とっとと失せるが良い」
俺はこいつの頭は大丈夫か?と思った。
「はあ?お前何を言っているんだ。何故俺の妻達をお前に差し出さねばならないんだ?それと、なんで裸にならなきゃならんのだ?何寝ぼけた事を言っている?妻達の裸を見ても良い男は俺だけだし、他の奴に見せる訳がないだろう!」
「貴様こそ何を言っている?この者達はお前の妻達だと言うのか?では何故処女臭が4人からする?まあ良い。黙って差し出せば貴様の無礼な態度にも目を瞑ろう。何故今までこれだけの美人を出さなんだ?何故隠しておった?」
「蜥蜴風情が笑わすな。お前、態度がでかいぞ。あまり生意気な事をいうなら退治してやるぞ。仰向けになり腹を見せて服従すれば、ペット位にはしてやろう」
「き、貴様!我を愚弄するか?愚か者め!死ぬが良い!」
そいつが俺に対して攻撃をする為だとは思うが、口を開いて何かを展開し始めた。おそらくブレスか何かを俺目掛けて吐くのであろうと思い、俺は、はぁと溜息をつく。
「降伏するなら許してやらん事もないが、攻撃してくるなら覚悟しろよ」
そいつが口から何かを吐き出してきた。咄嗟に4人を少し離れた所に転移させ、俺は上空に飛んで行った。するとそいつはあれ?といった感じでキョロキョロしていたが、俺はそいつの顔の前に転移し、思いっきり殴りつけた。
そうすると奴は呆気にとられていたが、そのまま吹き飛んで行き、倒れた。
「な、なんだ?何が起こったのだ!」
ドラゴンが叫んでいるが、俺は情け容赦なく蹴り上げたり、殴ったりをしていた。ドラゴンはぐぁーとか、痛い!とか唸っていたが、俺はライトソードを顕現し、奴の翼を半ば切断してやった。するとそいつが本格的に悶絶し始めた。
「俺にお腹を見せて降伏しろ。ご主人様どうか命だけはお助け下さい!と言えばお前の今までの行い次第だが、命だけは助けてやらんでもない」
そいつは尚も俺に抵抗しようとしたので更に殴りつけ、腕も半ば切断してやった。そうすると飛ぼうとしたが、翼が半ば切れていて飛べない事に気が付いたようだ。
「お前一体私に何をした?」
「いやー、飛ばれると面倒臭いからさ、翼を少し切っといたんだよ。お前を追い掛けると、妻達が暫くの間俺と離れなければならないから、お前を追い掛けたくなかったけだよ」
「貴様!なんという事をしてくれたのだ!これでは翔べぬではないか!」
「だから言っただろう?降伏しろと」
更に殴り続ける。俺に殴り掛かってきたりするが、手で受け止めてドラゴンの拳を潰し、ひたすら殴っていたが、ついに殴り過ぎぎて喋れなくなったようだ。それは歯や牙が何本か折れ、その辺に転がっていたからだ。グラグラとふらつき、ついにそいつが腹ばいになり、暫くの間悶絶していた。
そして諦めたようで、仰向けになりお腹を見せた。口を怪我している為に何を言っているのか判らなかったが、そいつが俺に降伏した事が分かった。
「何を言っているか判らない。降伏するなら2度地面を叩け。降伏しないなら1度だ」
そして2度地面を叩き、くーんと犬のように情けない呻き声を発した。
こいつを奴隷にできるかな?と思いつつ、首に手を当てた。
「隷属契約」
そうしてドラゴンに対して、隷属契約を試しに行ったのであった。
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