第364話 待つ辛さと3子目
最後のダンジョン入り口に、セレナを含めたブラックオニキス全員と護衛を連れて来た。そして見送りに来ていたセレナ達を残し、さあ入ろうとした時に、セレナが珍しく要望を出してきた。
「あのー、志郎さん。今回は私もダンジョンに入りたいの」
普段俺の頼みでサポートに徹しているセレナが、自分の意見を初めて言ってきた。2人きりの時は話は別で、皆の前での話だ。
「珍しいな。じゃあ一緒に入るのか?」
「ううん。今回は志郎さんには留守番をお願いしたいの。私がダンジョンに入ってしまったらテレポート出来る人がいなくなるの。偶には私にも戦わせて欲しいの。駄目・・・かしら?」
俺にはセレナの頼みを断れない。
あのセレナがやる気になったのだ。
「大丈夫なのか?無理をしては駄目なんだぞ。怪我をするかもしれないんだぞ」
「ふふふ。心配してくれてありがとう。でも大丈夫。私は元々薙刀をやっていたし、十分戦えるわ。偶には休んで、皆が戻るのを待っていてね」
俺は押し切られ、渋々だが送り出した。
普段セレナが担っている事を俺が代わりにやるのだ。
不安と心配で落ち着かない。取り敢えずこのダンジョンの入り口付近で1人で待つ。(護衛の兵士は黒子なので勘定に入れない)
そう言えば1人になるのはいつ以来だろうか。
セレナはいつもこんな不安な思いをして、皆を待っていたのか。まだ1時間も経っていないが、不安で落ち着いていられなかった。
何もせずにただただ待つのがこんなにも不安だったとは思わなかった。
どう足掻こうが、祈ったり滝に打たれても翌日までは攻略出来ない。
誰かにぱぱでちゅよーと子供と戯れてきたら?と言われ、ハッとなり子供の相手をする事にした。
偶に相手をしないと、すぐに父親だと認識しなくなるからだ。時折相手をしているが、毎日ではないんだ。だが、心ここにあらずだったので、クロエに叱られた。
落ち着きなさいと。
そしてクロエからは子供が欲しいと言われ、なるべく早くお腹を痛めた実の子を抱きたいと。ギルドは産休でも大丈夫だからと、俺の心配はそこではないのだが、他にもメイベルも子供が欲しいとねだってきた。
3人目の子を皆切望していた。
今日はクロエとダンジョンに近い町で過ごした。念話が入っても直ぐに対応出来るようにだ。
相変わらずクロエは俺の扱いが上手い。
鞭と飴の使い方が絶妙で、落ち着けと叱りつけながら・・・
「よく我慢して送り出したわね。偉いでちゅよ。おいで坊や」
今日は気が張っていたからか、なんとかばぶらなかったが、クロエの胸に顔を埋め、その心臓の鼓動を聞きながら落ち着いていった。
ダンジョンに入っている妻達には申し訳ないと思いつつ、クロエと子作りに励んでいた。
ただ果てた後確信した。今日の子作りで身籠ると。何故か分かるのだ。
子種を送り込んだ後、お腹に手を当てた。
「丈夫な子に生まれてくるんだよ」
そう言ったのを聞いた事があるとクロエが言ってきたが、以前にもそうやっていたのを知らなかった。そう今までもそうなのだが、果てた後その時の子種で身籠ると分かった時に、トランス状態の俺がそうしていたのだと言うのだ。その後はぐっすり眠り、翌朝まで起きなかったのだという。
それのお陰で、ダンジョンの事に不安があったにも関わらず、眠る事が出来た。
そして昼過ぎに1つ目のダンジョンを攻略したと水樹から連絡が入ったのであった。
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