第309話 破壊を確認するが

 俺は攻城組にセレーシャを追加し、破壊した魔王城を確認しに行く事にした。


 臨戦体制にてアリゾナを先頭としてゲートをくぐる。


 周辺に少し魔物がいたが、強いのはいないとの初期評価をした。


「よし、破壊した城の瓦礫から何か手掛かりが無いか調べよう!」


 そう言いゲートを出し、待機させていたセレーシャに城側に来て貰った。


 まずは邪魔なアイスボールの塊を収納に入れたが、少しだけ溶けただけだった。

 周辺に直径50m位のクレーターが出来ていた。

 しかしセレーシャがキョトンとしていた。


「ねえ志郎さん、魔王城を先に壊するのではーなかったのでーすかぁ?」


「へ!?ほら!ちゃんと破壊したよ!」


 俺は指をさして、昨日破壊した城を示したが、発音のおかしなセレーシャが面白かった。


 セレーシャは呆れた感じで話した。


「地図にも書きましたが、魔王城は最後の町からは70km有るのですけれどよ、ここは10kmしか離れていないのでーすよ。それにこの場所は魔王が1番最初に拠点にした城跡よう!」


「へっ?だって、ほらここに10kmって有るよ。俺はこれを目指したけど」


「ほら、こっちに70Kmって有りますわよ。ちゃんと魔王城とも。10kmの方には魔王城跡って書いて有るわよう」


 俺はフランス語が読めず、星マークのここを魔王城と判断していた。口頭で確かめなかったのだ。


「えー!まじか!?無駄足か?フランス語なんて読めないやん。聞けばよかった・・・」


 セレーシャが頷く。そして仕切り直しになり、皆をゲートで待機場所に送り帰してからセレーシャを抱っこし、魔王城へ向かい始めた。何故かセレーシャの場合変な喋り方に聞こえる。意味は通じるのが幸いだが。


 こうしてセレーシャと空を飛んで過ごすのは初めてだ。

 緊張感のないセレーシャは、はしゃいでいた。


 俺はまた、お姫様抱っこでゆっくり飛んでセレーシャの温もりを愉しんだ。じゃなくて、あまり早く飛ぶと風圧でセレーシャが可哀想だからだ。でもセレーシャは風で髪がバタついて大変そうだったが、空から見る景色が気に入ったようだ。

 ゆっくりと言っても時速60キロは出ているから1時間で目的地の上空に着くのだが。


 「ねーねー、志郎さん!しーろーうーさん、見て!見て!あれ!凄く綺麗な湖ね!あっ!あっちには滝が見えるよ!ねえねえ・・・」


 そんな感じで興奮して中々大変だ。もみもみしても反応が無いくらいに。

 そして城の上空に辿り着き、俺は転移で城の近くに降り、セレーシャを待機スポットに送り返した。


 そして上空に、それも数千mへ飛び、一度ゲートで皆の所に戻るのであった。


 皆の所から城が見えるポイントに行き、セレナも連れてきた。


「これから魔法を使わず一度攻めてみるよ。色々な意味で上から目線でね」


 そうやってゲートを城の上空に出し、手だけを出して収納から先のアイスボールと、以前収納した岩やら何やらをポポイのぽいと落とし始め、一通り出してからゲートを閉じ、皆と落下物の行く末を見守るのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る