第308話 魔王城の破壊

 俺がファイヤーボールを放った後、ゲートを出して少し離れた場所に攻城メンバーを連れて移動していた。


 当然魔法を放った場所に敵がいると認識され、反撃を食らう可能性があるからだ。


 そしてファイヤーボールは 粛々と飛んでいき、狙い通りに城の中腹に命中して盛大に燃え始めたが、俺は呑気に呟いた。


「おー燃えとる!燃えとる!」


 ファイヤーボールが当たると、そこから上を中心に盛大に燃え始めたのだが、かなりの魔力を注ぎ込んだファイヤーボールなので炎の高さは天守閣の高さを超えていた。


 どうも木材を使った建物のようで、燃え広がるのが早そうな感じではあったが、それを考慮しても火の勢いは予想以上だ。


 そして ファイヤーボール が命中した10秒後には、俺が魔法で上空に生成した氷の塊が、かなりの落下エネルギーを蓄えながら城に向かっていた。そして狙い通りに見事に天守閣に命中した。ドゴーンという大きな音、そしてその衝撃の強さを物語るような振動と共に、建物が一気に押し潰されていくのが見て取れた。


 これには拍子抜けした。

 まさかこんなにあっさり当たるとは思わなかったからだ。


 俺は思わず呟いた。


「何で当たるんだよ! 魔王城ってそんな簡単に潰す事が出来るものなのか? それとも今たまたま不在で、魔王がいないから当たったのか?」


 誰からも答えが返ってこなかった。

 見当がつかないからだ。

 その後、俺は魔力の使い過ぎで頭がクラクラし始めたので、皆に告げた 。


「すまない。魔力切れでふらふらしてきたので、今日の所はこれで引き上げる」


 心配そうなオリヴィアが俺に肩を貸してくれた。滅びた城にゲートを出してまずそこに向かった。そしてその後2つばかり町を経由してからワーグナーの皇帝宮に戻った。

 皆を解散させたが、俺はもう1人では歩けない状態だった。オリヴィアにベッドまで 肩を貸して貰い、フラフラな足取りで何とか部屋に辿り着いた。そしてベッドに横になり、即休む事になった。 そうして横になるとほぼ同時に意識を手放した。


 目が覚めるとレフトアイとライトアイの2人に手を握られていた。


 この2人も大人へなりつつあり、少女と大人の女性の中間位だ。


 かなり洗練された美女に成りつつある。俺は嬉しかった。最近中々会えない2人で、避けられている気さえした。


 しかし、実際避けていたらしい。


 淑女会なるものがあり、それに参加していて貴族の所作を身に付けている最中で、身に付いてから俺を驚かそうとしていたらしい。実にいじらしい。


 十分に驚いた。

 男勝りなレフトアイが正に淑女だし、ライトアイもリギアの頭を叩かなくなり、毒舌も無くなっていた。


 そんな2人と暫くの間話をしていたが夕食の時間になった。明日はセレーシャを伴い城を調べる事になり、明日に備えて早々に眠りに着いたが、そのままレフトアイとライトアイが添い寝をしてくれたのであった。


 饒舌が聞けなくなるのは寂しい。

 お淑やかなのは外行きの所作に留めてくれる事を切に願う!

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