第297話 宿題

 今日は全ての総督と貴族出身の妻達を集めての重大な会議だ。 又、タオ殿にも参加して貰っている。基本的に俺は余程の事がない限り会議に参加する事はなく、普段は人を集めるだけだ。


 会議の議題は、向こうの大陸の滅びた国をどうするかだ。昨日皆に案を出すように宿題を出していたので、意見を寄せ合って論議をする。


 突拍子の無い事でもアイデアになるかもと言ってあるので何でも言って欲しいと。ただし、魔王をどうにかしないといけないので、その後の話というのと、復興の算段だ。魔王討伐までの間に準備可能な事は準備したり、人を育てたりとやる事は多い。


 出た意見はこんな感じた。


 こちらから移民を募集して送り込む


 犯罪者を連れていきそこで新たに生活をさせる


 開放した奴隷を送り込む


 他所の大陸へ人を送り込む余力はないので放置する


 向こうの大陸の別の国に状況を説明し、向こうの大陸の隣国等に丸投げ


 汚染地域がある為、そこに関しては不毛の土地の為に出入り禁止とし、期間は1000年程にする


 等だった。


 但し、まだ魔王の驚異に晒されていない町の金目の物は回収する。盗賊や反社会勢力の資金元となりそうな物は回収するか、破壊して使えなくする必要があるとタオ殿が意見を出してくれたのだ。


 それは移民を出す出さないに関わらず、盗賊達が荒らすのは時間の問題だろうと。

 昼近くまで色々な意見を出して貰ったが、これといった案が無く当面の事としてタオ殿の意見を採用し、金目の物を回収する事とした。


 もう一度意見を考えるように指示をして解散となった。腹心や信頼の置ける者への情報開示を許可したので、相談するようにと。


 各地方も先の魂食いとの戦いの影響から立ち直りつつあり、今はまだ回復中なのであまり余力がない。


 実際に人を送り込む事になったとして、行ける者の人数がどれ位になるか見当がつかなかった。


 また、総督達に各地方の実際の人口がどれ位なのかを教えて欲しいと言うも、答えられる者が誰一人いなかった。

 調査をした事が無いそうだ。これが国の人口がxx万人と言われているのと曖昧な事の実情で、かなり水増しされていると思うしかなかった。


 俺が下町の住人を送り込む事について意見を聞くも、誰からも良い返事がなかった。


 結局会議は長引き、そろそろ昼食の時間だったので今日の会議を終わらせた。


 会議を昼で打ち切ったのは、俺は午前中しか働かないと決めていたからだ。

 今からは妻達の相手をするお務めの時間だった。


 とはいえ今日はセレナ達地球から来た者の集まりに参加だ。つまり新技術開発に協力する為だ。俺は積極的には参加しないが、時折顔を出している。電気を普及させる事についてはハードルが高かったが、今進めているのは鉄道で、しかも蒸気機関車だ。


 鉄道に詳しい者がいて、実は百合亜が詳しいのだ。鉄道好きなアイドルとしても有名だったらしい。セレナも聞いた事が有ると。


 しかも、SLマニアだった。既に試作機が出来ていて、石炭の代わりに魔石を使うか魔力を込めるかだった。要はボイラーで水を沸騰させ、蒸気を取り出した後は地球と同じなのだ。


 俺も自転車について設計図を出しており、試作機を作って貰っていた。手帳に記憶が失わるる前に、未来の自分に託すとあった分だった。

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