第296話 再探索

 俺はオリヴィアを抱いて上空に上がり、目視での広範囲の探索に切り替えた。


 何故オリヴィアかというと、彼女は放射線の影響を受けないからだ。


 飛ぶ方向等は俺が端末を見ながら決めるが、端末に集中してしまう為に周りに異常がないか分からなくなる。その為、警戒等の対処をオリヴィアにお願いをした。時折魔物が見えるのでサラマンダーを大量に放ち、魔物のみの殲滅を命じ、周辺に魔物の気配が無くなったらおそらく魔王がいると思う方向に向かい殲滅と探索を続けさせる。


 それを時折行い、1週間も探索を行ったが、遂に奴らの信号を捉える事は無かった。つまりあの基地に戻った奴等が最後だったのだ。


 最後に念の為と思い、基地があった所に行くと反応があった。信号を辿り土魔法を使いその辺りの土砂を除去すると、奴らの端末が有った。まだ周辺の土は熱を帯びており、腐敗が進んだ腕が地熱と腐敗による熱の為か、端末が故障したのか、生きていると判定して信号を出したようだ。

 更に剣を握っていたようで剣が発掘された。


 そんな感じで久し振りの反応は単なる死体だった。

 流石に最後だと思い、奴らの飛行挺を操縦してみる。オリヴィアはもう1つの操縦席に座り、操縦桿を握る。同じにしか見えない操縦席が左右にあるのだ。

 ザッツ小型のスペースシャトルな感じの狭い操縦席で、全長は12m位だ。


 奇跡的に飛ばす事が出来て、飛行挺に反応がないか確かめていく。なんとなくで操作パネルを触っていたら何か武器を発射してしまったようで、それが当たった山が吹き飛んでしまい驚いた。

 見事に地形を変えてしまったのだ。


 やはり文明レベルが違い過ぎているので、文明レベルが上がったら解析しようと思い今は収納にしまったのだ。


 そして引き上げる時に置き土産として、俺に残っている魔力の8割を使い、大量にサラマンダーを出して魔王がいると思われる方に飛ばし、魔物のみの探索と殲滅を命じた。

 因みに普段サラマンダーには魔物以外に襲われたら交戦せずに逃げるようにと指示を出している。明確な指示は守られるのだが、曖昧な指示はあまり良くない結果しか招かないので、はっきりとターゲットを指定している。


 皇帝宮に帰ると総督を含め皆を召集し、調査結果を報告をした。


 ゲートから来た奴らの排除が完了し、この1週間探し回ったが、新たな発見には至らなかったと。


 ゲートから来た奴らの持ち込んだ物はほぼ回収したが、文明レベルが違い過ぎ、強力な武器により山を吹き飛ばしてしまった事と、当面100年単位で封印すると伝えた。


 サラマンダーを大量に作り、魔物の殲滅を命じ、魔物の気配が感じられなければ、魔王がいる方面に探索をしていくようにしていた旨を伝えた。


 数日の休息の後にいよいよ魔王の討伐に向かう旨を説明し、総督達には宿題を出した。

 死に絶えた国をどうするかについて意見をまとめ、数日後に話し合うとして解散したのであった。

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