第153話 帰宅
オークションが終わり、騒然となっていたが、奴隷の受け取りやら手続き等がある。
まずは奴隷商の商談室にて説明を受ける事になったのだが一悶着があった。
「それではランスロット卿、今日はあの者達への引渡し前教育と言うのがあり、明日の引取りになります。お昼前には…」
「駄目だ。最後に落札した娘だけは今直ぐに連れて来るんだ!連れて帰る」
「そういう訳にはまいりません。奴隷というのは、特に女奴隷の場合は落札されてから初めて、本当に己の体を主に捧げる事になるのだと、抱かれる覚悟と自覚を持たせる最後の教育を持って引き渡す決まりでございます」
「そんな教育はいらん!即時奴隷から解放するから教育は不要だ!早くちゃんとした服を着せてやりたい!彼女は俺の同郷の者だ!だから落札したんだ!」
「そういう事でしたら直ぐに。ただ、それですともしも奴隷として不都合が生じていた場合に返品が…」
「つべこべ言わずに連れて来い!受取サインをすれば良いんだろ!なんなら一筆かいてやる!俺がここを吹き飛ばす前に連れてこい!」
奴隷商はヒィィと唸りながら部屋を出ていった。
すると少ししてから混乱した感じの少女が現われたが、彼女はちゃんとワンピースを着て・・・いなかった。貫頭衣の上にバスタオルを掛けられていただけだ。かなり慌てており、着替えをする時間が無いと思ったのだろう。
クロエとオリヴィアにまずは受け取らせ、屋敷にゲートを繋げてクロエの部屋に急ぎ行った。彼女にはまず俺が話す事にした。
「君は日本人だろう。俺も日本人だ。だから助けたのだが、早目にこの世界に来た時の話をして欲しい。早々に奴隷から開放するし、君を犯したりはしない。取り急ぎする事があるんだ。説明は後でするけれども、先ずはこの首輪を外すよ。それから彼女達と風呂に入って体を清めておいで。ただ、首輪を外すのに奴隷契約の変更をする必要があるのだけれども、隷属紋を胸にする必要があるらしいんだ。だから少し胸を触る必要があるんだ。ごめんね」
そう言うと彼女の貫頭服の下から手を突っ込み、左胸を掴むと即時に奴隷契約を変更した。すると首輪が割れ、彼女は泣き出し、俺に抱きついてきた。
2人に彼女の風呂をお願いするも、彼女は俺の腕を離さない。
話を聞くと久し振りの日本人で嬉しいと言う。しかもこちらに来て半年で、来週17歳になると言う。
名前は皆川 百合亜(みながわ ゆりあ)
こちらの世界に来た時の事はよく分からず、気が付いたら奴隷商人の屋敷で奴隷になっていた。そして奴隷として教育されて今に至ると。
俺は抱きしめて、彼女の頭を撫でてあげるとひたすら泣いていた。
風呂に一緒に入って欲しいと言う。
クロエに聞くと一緒に入れば良いと言い、私も入ろうかと言うので、刺激が強過ぎるからと断り、聞く相手を間違えたなと反省していた。
仕方ないので一応聞く。
「君と一緒にお風呂に入ったら俺は理性を押さえられずに君を犯すかも知れないよ?」
「ううん、うんきっと大丈夫だよ。さっきねー、貴方に触れた時そのねー、見えたから、今はそんな事しないって分かっているからーねー。私を救ってくれて有りがたかったの。ありがとう」
俺の頬にキスをしてきた。
確かに触った時に何かが見えたが・・・・・あっ!彼女も うはー!
数年後の彼女は正に女神だった。多分20歳位かな。やはり幻影の見えた場所は日本ではなかった。ただ、間違いなく彼女を愛しているのだと理解した。
ヤバいな俺は。伝説に程遠いと思っていたのだが、ボレロに着いたらきっと殺されるな。
2人で風呂に行き、バスタオルで体を隠すように言うが拒否された。仕方なくそのまま入るが不思議と興奮しなかった。彼女は俺にオークションでは化粧で見えなかった肌を見せたかったようだが、それは酷かった。痣だらけで彼女の胸を見て元気になり掛けたのが萎れたのだ。
ヒールでは治らないので、欠損修復と唱えると見る見るうちに痣が消え、すべすべの肌になる。するとまた泣かれた。そして寝ているのをガン見され物凄く恥ずかしかった。
「凄いです。紳士様なのですね。奴隷教育で男性が性的に興奮するとどうなるものかと教えられたり、実際見せられていましたが、凄い自制心なんですね。やはり運命の人なんですね!」
「じゃあ洗うけど恥ずかしかったりして自分で洗うなら止めるから言うんだよ」
しかし、彼女の希望で全身を洗うのだが、確か手帳に清めの儀式の事があったが、正にそれだな。繰り返し刷り込まれたのだろう。幼稚園の自分の子供を洗うように、それはやさしく丁寧に洗ってあげた。すると、彼女は俺を洗い出したが、今は好きにさせたのだ。しかし特定の場所を念入りに洗うのはやめて欲しかった。だが俺は耐えきった!偉いでしょ!
幻影で見えた彼女の年齢から後3年は手を出さない筈だが、3年後には・・・・・幻影の内容は・・・しかし、その期間は半世紀・・・彼女には見えなかったようだが、何故か俺は年老いた彼女を妻達に殺させていた・・・おかしい。彼女は刻印者に間違いなくなり、浮気はしない。だから俺が死ぬまで20歳の体のままの筈が、妻達に命を絶たせたのだ。謎だ。
風呂を出てからしまったなっと気が付いたのは、彼女の服がない筈だと思ったからだ。だが脱衣場に誰かが用意してくれていたのでホットするのも束の間で、下着から着せる羽目になったのだ。
着させて欲しいと懇願して来るので俺の事を試しているのかと思ったのだが、奴隷教育の一環で男が悦ぶ事としてねじ込まれた行動だと今更だが気が付き、性的に興奮していない事を身をもって感じてもらう事にしたのだった。
それはこの後に同じ様な行動に出ない為だ。
風呂を上がるとセチア達が帰ってきていたので、オークションの事を話し、ゆりあを紹介した。そしてセチア達の事を話した。
「志朗さんて実は凄い人だったんですねー」
等々話しをしていると食事の時間になり、ゆりあを皆に紹介した。彼女が転移者だと説明し、皆に受け入れて貰った。食後は俺とセチアの部屋で一緒に寝る事となった。
俺の両脇にセチアとゆりあが寝るのだが、ゆりあは今まで辛い日々を過ごした為か、俺にしがみついたまま寝て行き、そんなゆりあを撫でていると俺も眠りに落ちていったのであった。
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