第152話 日本人だ!
俺はうんざりとしてため息をついていた。
「良くやるよなぁこいつ。ウザいけど場は盛り上がっているんだよな。盛り上がるやつもくそだけどな。そういえば引換券が何故か後一枚有るな。まあ性奴隷は要らないから、万が一の時用に取っておくか。不思議なのは手帳へ記載しているのよりも一枚多いんだよな。二枚重なっているのを見落としたとかかな?」
呟いていたようで、オリヴィアとクロエが目配せをして頷いていた。
「あらあら私達2人をまだ抱いていないのに、追加で女を購入ですか?むっつりさんね」
ムスッとしたクロエが可愛かった。
「いや、買う予定はないよ。もしもとんでもなく戦力になるならばダンジョン要員として買いたいけど、司会の感じだと性奴隷を想定しているんだよね?もしもクロエかオリヴィアが買えと言ったら買うけどさ、まあ見るだけかな。ここのオークションは初めてだから、どんな感じなのかを見ておきたいしね。ただね、同郷の娘がいたら保護する為に買うからね。これは屋敷を買う金を注ぎ込んででも譲れないから」
「あらあら私とした事が嫉妬してみっともなかったわね。ちょっと安心したわ。同郷と言うと異世界の方かしら?」
「うんそうなるね。こちらに飛ばされる前に、バルバロッサのオークションに一人13歳の女の子が出品されていてね、向こうにいる妻達に購入を指示して保護をお願いしていたんだ。同郷の者は可能なら助けたいんだ。ハーレム要員ではないのだけれども、俺の意地だよ」
そうこうしていると6人が連れて来られたが、手帳に書いてあった通りのかなり酷い格好だ。分かってはいたが、俺の怒りは爆発しそうだった。だが、今の時点では現実を確認する意味で何とか観察をしていた。
ヒモパンに乳首を辛うじて隠す小さな布を貼付けられているだけなので、乳房の形がはっきり分かる。ヒモパンも陰部は隠れているがオケケを剃ってなければ見えるんだろうな!という有様で、皆様恥ずかしがってはいるが、何故か誰一人として胸や股間を隠そうとはしていない。
「なあクロエ、何であの子達は胸や股間を隠さないの?」
俺が語気を荒くして聞くと、恐る恐るといった感じで、クロエは答えた。
「あのね、その、彼女達はしたくてもできないの。命令で禁止されているから」
俺は怒りで手に持っていたグラスを握り潰した。砕けたグラスの破片が手に刺さり、手からはぼたぼたと血が溢れていた。クロエ、奴隷商、オリヴィア以外の数m以内の者は慌ててその場から離れ、俺の周りだけがポッカリと人がいなくなった。また、慌てながらオリヴィアがヒールを掛けてくれたが、俺の表情はそれはそれは恐ろしかったそうだ。
そして並んでいる少女達を確認していたが、ふと異変を感じオリヴィアを見たが、彼女の表情は驚きから固まっており、顔色も青ざめていたのだ。
「えっ何で、何であの子がここにいるの?おかしいよ」
オリヴィアが震えているが、その少女をよく見ると、どう見ても日本人のようだ。
並び順からはどうやら一番最後らしい。遠目で分かりずらいが幼く見積もっても年齢は14、15歳かも。
オリヴィアに事情を聞いた。
「有り得ないのよ。あの子来月の召喚者なのよ!しかも死んでいたのはあの子なのよ」
俺はオリヴィアを抱きしめ、背中をさすってあげると少し落ち着いたようだ。
「まずどこが召喚して、その時の召喚はどうなったんだい?君は過去に転生しているのだろ?」
「うんバルバロッサがと言うよりこの世界では唯一召喚出来るのがバルバロッサだけなの。因みに失敗してバルバロッサではかなりの死傷者が出る筈よ」
「あの子の年齢は?」
「確か16歳よ。あそこの術式だと本来は18歳、前後6ヶ月なのでそもそも16歳がおかしいのよ」
事態は複雑だ。クロエは彼女を買う事を了承してくれた。
そうこうしていると彼女の番が来た。まだあどけなさが残ってはいるが、十分アイドルでセンターをやれる!と言うか、なんかテレビで見た事があるような気がしてきた。多分現役のアイドルだ。記憶が曖昧でよく分からない。とは言っても関係ない。まずは落札しないと話にならないのだ。
黒髪黒目で肩までの長さ。顔付きは可愛い系統だ。
オリヴィアに聞くともう落札出来る資金がないというので、落札をお願いされた。
「すわああああてぇ!泣いても笑っても今日1番のこの商品で最後だぞおお!
黒髪黒目の希少な16歳!82-54-84の抜群のプロポーションだぁ!この見事なおっぱいに注目だあああ!このおっぱいを物にする奴が羨ましいぞおおお!じゃあ入札開始だああああああぜぃ!」
俺は速攻で最後の一枚を掲げて、無事に落札した。
「ぬわああんとぉお!さ、3枚目だとだとお!おおお!これは公爵家の令嬢にして、冒険者ギルドのギルドマスターの連れ合いだあああああああ!しかもその隣で彼に買わせたのわぁ!我らが愛しの1番人気受付嬢ぉのぉぉおぉう!オリヴィア嬢じゃあないですがあああ!と言う事はぁ?先日専属契約をした謎のS級冒険者のランスロットおおおお氏ではないのかあああ!あのハーレム王がワーグナーに居るぞぁぉお!ぐわぁ!…僕泣いてもいいすっか?…」
どよめきが起こる。まあ正体が分かる方がこの後のちょっかいが少ないだろうから助かるのだが。俺は右手を上げて立ち上がると頷いた。
まあしかし大変な事になってしまった。
クロエとオリヴィアに腕を組まれており、クロエが周りを睨んでいるので係員位しか近付いて来ないが、俺はただただ項垂れるだけであった。
また一人美少女が増えたと。セチアに怒られるかなぁ?とおどおどしていたりする。
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