第65話 おおいなるやらかし

 レフトアイと真面目な話をしていたが、隣に座っていた赤毛が割り込んできた。既に酔っており、酔っぱらいの勢いで色々聞いてくる。ナンシーとはもうやったのか?と訊くので俺は噎せてしまった。ナンシーは顔を赤くし、俯いてしまった。トリシアはというと、ライトアイから頭を叩かれていた。


「貴女はそんなだからいつまでも告白の1つもされないんですよ!」


 そう言われ、一瞬しゅんとなったが、次の瞬間には開き直っていた。


「がははは、そりゃそうだよな」 


 だが、俺に耳打ちでもう1度聞いてきた。


「もう誰か1人位とはやったんだろう?」


 そう訊いてくるので、俺もこっそり答えた。


「もう全員とですよ。興味あるようなので、貴女もこれからどうですか?」


 そう言い耳にふうっと息を吹きかけたら、急に大人しくなった。

   

 顔が赤くなり、モゾモゾしている。意外とこの子好きかも。ちょっと可愛いいし、いじられキャラだな。

 チョットからかい過ぎたかもと思った。


「冗談ですよ。貴女も年頃の綺麗な女性なんですから、下ネタは程々に。普通にしていれば周りが放っておかず、モテると思いますよ」


 そう言うとパッと明るくなり、俺の腕に抱き付いてきて嬉しそうにした。


「本当か兄ちゃん?そんな事を男に言われたのは初めてだぞ?」


「鏡を見た事は無いのですか?顔付きは割と俺の好みですよ」


 そう言うとライトアイが食らいついてきた。


「常々言ってはいるのですけれども、貴女は顔は良いのだから、がさつささえ直せばモテますよって」


 因みに回りも会話に注視してきている。俺も追撃する。


「そうですね確かに勿体ないですね」


 そう言うと、トリシアは手を広げて嫌そうにした。


「そんな鏡なんて見る必要は無い!」


 そう言うので、ダンジョンで使う予備として買っていた鏡を出した。


「ではごらん。そこに何が映っているのかを」


 そっと彼女の手を右手で取り、左手を添える形で鏡を渡してしまい、周りの雰囲気が一気にかわった。


「きゃー!いやーん!トリシアに春が来た」


 とか聞こえてきたが、俺はというと、はっ?という感じだ。トリシアが恥ずかしそうにしており、手をぎゅっと握り返してから鏡を見ている。ナンシーとかシェリーとかがチョット震えており、モゾモゾとしているのが気になる。


「良ければお近付きの印に差し上げますよ」


 そう言うと戸惑いつつも嬉しそうにしていた。


「オレなんかで良いのか?」


「貴女だから良いのですよ!良かったら女物の服を買ってあげますよ。絶対に化けますから。見てみたいな君のスカート姿を」


 その時は鏡を嬉しそうに受け取ってくれたのだと思っていたんですよ!そう、この時は。


「私のような女は嫌いなんじゃ無いのですか?」


「ううん。ちょっとがさつなところがありますが、中々面倒見が良いようで、トリシアさんの様な方は好きですよ!」


 当たり障りの無い返事をしておいた筈なのに、周りの反応は違った。


「チャンスよ!こんなチャンスは滅多に無いよね。6人のハーレム主から誘われるなんて!きゃー」


 等と聞こえる。どういう事か?

 トリシアはおろおろしていて、確かに可愛かったが、3人にどうしようどうしようと狼狽えて訊いていた。

 席を一旦離れたので、俺はエリシス達を見に行った。何ともないか大丈夫かとしきりに聞いたが、何ともないと、心配してくれている事に礼を言われた。


 何だかんだでそこそこ時間が経っていて、お開きになった。帰り際にレフトアイにこっそり言われた。


「私達明日からクエストを受けるので、宜しかったら帰って来たらまたお食事をお願いします」


 そして照れながら意味不明な事を言う。


「トリシアへの事は私達4人共と言う事で良いでしょうか?」


 そう訊かれたので、まあ、お金はあるし、ギルドでの事も有るし服くらい買ってあげようと思った。先程トリシアに服を買ってあげますよと言った事だろうと思った。


「勿論です。4人全員で大丈夫ですよ」


 そう言うと、ガッツポーズをしてくねくねしていた。


「勇者様に・・・」


 と聞こえた。俺の事を勇者って知っていたんだなとちょっと思った。

 またもややらかしたのだが、この後とんでもない事になるとは今はまだ知らなかった。その後ナンシーに正座させられるとかされないとか、ごにょごにょ。


 宿を後にしてナンシーは宿舎の片付けも有るので、今日の所は宿舎に帰り、数日以内に屋敷に移ると言って帰って行った。なので俺は5人を連れて屋敷に帰った。


 今日は添い寝と言うか夜伽の番をシェリーがしますと寝室に来ていた。躰は大丈夫か?と聞いたが大事ないと言うので、忘れる前にシェリーへ1枚のコインを渡した。


「このコインが俺とシェリーを引き合わせたんだ。実は道を決めるのにコイントスで使ったんだ。1度目は街道の進む方向、2度目は争いの音が聞こえていて、逃げるか介入するか。判断が出来なくて、運に任せたのがこのコインなんだ。これは幸運のコインだと思うんだ。だからシェリーに渡すよ」


 そう言って渡した。

 俺はハーレムの主として、6人を相手に不公平の無いように接する必要が有るので、誰か特定の者のみばかり構っていたり、誰かを放置というのは不味いよなと思い、シェリー訊いた。既にシェリーも同じ事を考えていて、ローテーションを考えているそうだ。俺も後で考えるとしよう。XYZ…彼女は俺の第2夫人となり、暫くし仲良しさんをしてから眠りに落ちた。今が幸せの絶頂期なのかな?と幸せ一杯だった。

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