第46話 ボス部屋

 さて、俺達はどうしたものか?とボス部屋を前にして立ち止まっていた。

 誰から行くか決まらなかったのだ。


 仕方がないので又もやシェリーを先に行かせ、終わったらボス部屋の外で待機とした。

 シェリーが入ってから2分位で扉が開いたので、次のナンシーを送り出した。3分位で扉が開いたので、俺は間髪入れずに扉へ向かった。


 出てきたのはゴブリンジェネラルで、強さは通常の個体の3倍程度と大した事はない。正攻法でやり合うのは面倒くさいし、2人をあまり待たせたくないので、転移して首チョンパである。実に簡単なお仕事だ。

 そしてスキルはというと、統率をゲットした。また、ドロップはブレスレッドで、装備していると魔力の回復が通常よりも少し早くなる。


 ドロップの回収が終わると1枚のカードが出てきた。確認すると何かの福引券のようだ。そういえばナンシーがダンジョンのボス部屋のドロップにそれが出るとか出ないとか、そんな事を言っていたなと思い出した。


そして出口と思われる扉が開いたので、早速扉に入ったが、どうやら隣に部屋があったようで、そこで待っていた2人と合流する事が出来た。

 

 そこから更に小部屋への入り口があり、その小部屋に入った。そこには祭壇?と福引きを回す福引きマシーンが有った。

 どうやらここでダンジョン攻略の報酬が決まるようで、福引きマシーンにカードを入れるとマシーンを回す事が出来、福引のアイテムが出るとナンシーが教えてくれた。


 運が良いとかなりレアな武器やスキルを貰えるらしい。

 先ずはシェリーが挑戦となり、マシーンを回すとビー玉位の小さな珠が出て来た。


シェリーが手に取ると、ポンッ!と乾いた音がし、煙が出た。すると1枚のローブのような物が顕れた。


 鑑定すると守護者のローブで、耐魔法防御力が高く、50~70%の威力をカットするローブだ。確率が変動するようで、下限の性能と見ておいた方が良い。


 続いてナンシーは軽量なドラゴニックメイル。軽量なのは、ドラゴンの皮から作られた皮鎧だからだ。装着者の血を1滴でよいので垂らすと、装着者の体型に合わせて形状が変化する。 


 そして俺はと言うと、奴隷引換券だった。奴隷引換券はどのような奴隷でも、販売している限りこの引換券で引き替える事が出来る。


 ナンシーによると必要に迫られていたり、強く要望している物を入手する事が多いのだそうだ。


 俺のはどうなんだろうか?微妙かな。ナンシーのいう通りだと、基本的に2人での冒険に危機感を感じているから、奴隷と一緒に冒険しろっていう事だろうか?でも奴隷って、いかんやつやろ!


 ナンシーの場合は何となく分かる。鎧を買おうにも胸の大きさの所為で中々良いサイズがなく、仕方なく恥ずかしいビキニアーマーに成ったのだっと言っていたな。


 シェリーのは正直なところよく分からない。


 取り敢えずこれで終わりのようなので、もう入ってきたのとは別扉があるので、その扉から部屋を出ると、ダンジョンの入り口に転移されるようで、ダンジョン自体の入り口が見えた。


 今後の事について関わってくるようで色んな意味で怖い内容だったけど、当初の目的であるナンシーのパワーレベリングが終わったと言うより、上がり過ぎていて凄いの一言だ。


 俺のレベルも多分ジェネラルで上がったのだろうけど、現在はS級かSS級位の能力なんだろうなと思う。


 俺は血を流し過ぎたようで、かなり体がだるい。傷口が塞がっても失った血までは直には回復しない。


 今回の事で俺も鎧を何とかする必要が有るなと反省した。

 また、今回色々試したが、戦闘スタイルについては片手楯剣がかなりしっくりきた。


 疲れたので今日はもう帰ろう。精神的にも疲れた。


 宿に着くと先ずは着替える事になり、ナンシーの装備は俺が預かる事にした。まあ普段から短剣だけは身に着けているとは言っていたので、良い短剣を新調してあげたいな!


 ナンシーとシェリーは共に俺の目の前で普通に着替えている。冒険者の掟で、着替えは色目で見ない不文律があるが、俺は2人の躰をまじまじと見た。それは純粋に戦闘について考える為だ。でも脳内ライブラリーにスクショを!

ナンシーは細いけれどもかなり鍛えられており、無駄な肉が無い。それはステータスにも反映されているようだ。


シェリーはまだまだ肉が足りておらず、もう少しで本来有りうる姿になりそうだ。


 2人は取り急ぎ冒険者としての服から普段着に着替えるので、下着姿になった時点で体にクリーンを掛けて清潔にだけはした。


 時間はというと、まだ15時位だ。そういえば1日は約24時間なんだよね。偶然なのか24時間3分位っぽい。幸か不幸か俺の時計の誤差の関係でどんぴしゃになっている。


 ふと思ったのだが、シェリーが元々売られようとしたのは奴隷オークションだと言っていた筈だったなと思い出し、オークションについて聞いてみた。


 月に1度、目玉となる高級奴隷をオークションにて売り出すのだそうだ。因みに今月は明日開催で、通常は展示期間が有り、期間は概ね1週間位。シェリーはそれに向けて連れてこられたんだな…。


 そうではないのや、早くお金にしたいのは奴隷商で売っているのだそうだ。

 奴隷引換券が有るから一度見に行こうかと聞いた。


「私達が居ると気が散って満足に見れないでしょうから、おひとりさまでどうぞ」


 シェリーとナンシーはこれから買い物に行きたいと言う。俺もと言うと、下着も買いたいので男性の同伴は無理と却下されてしまった。


その為、俺は鎧を着たままの冒険者の出で立ちで一人寂しく奴隷商に向かう事にしたのであった。

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